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Jリーグ 7年前

「チームが潰れる経験をするとは…」横浜F、最後の試合で出場停止になった薩川了洋【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

背番号3のユニフォーム姿で山口に抱きついた

 まあ1-0で決勝進出が決まったし、結果的にオレもマジーニョを道連れにしたわけだけど、やっぱり鹿島は強かったよ。今もそうじゃん。ジーコが植え付けたDNAみたいなものが、今の若い選手にも受け継がれているところがすごいよね。

 試合後、(当時の監督だった)ゲルトから「サツ、お前も決勝は前泊しろ」って言われました。前日の練習も一緒に参加したし、大晦日に全日空ホテルに泊まったときは、みんなで記念撮影した。試合には出られないけど、最後までみんなと一緒にいられたのはうれしかったね。

 元日の決勝は、スタンドではなく下のほうで見ていた。もちろんベンチには入れないから、たぶんベンチの近くで見ていたんだと思う。試合が終わったときは、すぐにオレもピッチにダッシュしたからね(笑)。試合内容は、よく覚えているよ。

 最初は清水(エスパルス)のノボリ(澤登正朗)さんがダイビングヘッドで決めた。それで前半が終了する間際に、ヤマさんからのループを久保山(由清)がターンしてゴール。最後は永井の左からの折り返しを吉田さんがダイレクトで決勝ゴール。よく覚えているでしょ(笑)。オレはけっこう記憶力はいいんだけど、この試合の映像はすごく鮮明に覚えている。

 自分が出場していたら? そりゃあ考えたよ。オレの代わりに(原田)武男さんが出ていたけど、失点のシーンは相手を褒めるしかないよね。ノボリさんのゴールもだし、テル(伊東輝悦)の右からクロスも良かった。

 ただ、この試合も負ける気はしなかったね。失点して「うわっ!」とは思ったけど、久保山のゴールで同点にした時には「これは行ける!」って確信していた。優勝が決まった瞬間は、ボールを抱えているヤマさんのところに一目散でダッシュしていた。映像を見ればわかるけど、ベンチ入りしていない背番号3がヤマに抱きついているでしょ。実はオレ、ユニフォームを着て試合を見ていたんだよね。

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