鹿島との準決勝で退場した時に涙がこぼれた
天皇杯は3回戦が大塚製薬、4回戦が(ヴァンフォーレ)甲府で、そのあとは磐田と鹿島だよね。その年は磐田も鹿島も強かったけど、まったく負ける気がしなかった。天皇杯で優勝する。その目標を達成するために、みんなの気持ちががっちり噛み合って、勝負強いチームになっていた。
で、準決勝の鹿島戦(12月27日@長居)。正直、鹿島は「燃える相手」だよね。強いし、ずる賢いし。それがオレにとっての鹿島のイメージ(笑)。
この試合、エース潰しのオレは、マジーニョのマークについていた。レフェリーが見えないところで、かなりバチバチやっていたの。主審は(レスリー・)モットラムだった。で、前半の30分くらい(編集部註:29分)にマジーニョが退場になったんだよね。
あいつがオレを押してきた時、オレは顔に手をあてながら倒れた。今だから言うけど、あれは演技。それでこう、指の間から様子を見ていたオレは、レッドカードが出た瞬間に立ち上がって「よっしゃ!」ってカッツポーズしちゃったんだよね(笑)。そしたらイエローカード。迂闊だったよね。
それから5分もしなかったと思うけど(編集部註:32分)、球際でボールを取りに行く場面があった。向こうは奥野(僚右)だったかな。6:4くらいでこっちだったんだけど、相手がオレの身体に乗っかってきたの。そしたら2枚目のイエローで退場。
「うわー、やってもうた!」って、もう頭の中が真っ白。ピッチを出る時、前田浩二さんが声をかけてくれた。どういう言葉だったか覚えてないけど、自然と涙がこぼれてきて……。
ここで終わっちゃうのか。みんなよりひと足先に、フリューゲルスでの最後の試合になっちゃったよ。はっきり言って、どちらのカードも必要ではなかった。今にして思えば、浅はかだったよね。