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代表 7年前

予選無失点のモロッコ。強豪国と同組も、ベナティア中心の堅守で下剋上を起こせるか【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回はグループBに入ったモロッコ代表を取り上げる。(文:河治良幸)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 河治良幸 photo by Getty Images

アフリカ予選無失点。堅守をもたらした“イケメン監督”

メディ・ベナティア
モロッコ代表のメディ・ベナティア【写真:Getty Images】

【モロッコ代表】
FIFAランキング:40位(2017年12月)
監督: エルベ・ルナール(2016年~)
5大会ぶり5回目の出場
最高成績:ベスト16(1986年メキシコ大会)
アフリカ予選グループC 1位通過

 コートジボワール、マリ、ガボンという難敵揃いのグループを無失点で突破して5大会ぶりの本大会出場を決めたモロッコの強みは中盤のパスを生かした鮮やかなサイドアタック、そして高い位置から深いエリアまで組織されたディフェンスだ。それらを植え付けたのがエルベ・ルナール監督だ。

 俳優にも見まがう“イケメン監督”として知られるが、手腕は確かなものがある。これまでソショーやリールといった母国フランスの名門クラブに加え、アンゴラ、ザンビア、コートジボワールを率いた指揮官が就任したのは16年2月。そこからDFのメディ・ベナティア、アンカーのエル・アーマディ、司令塔のユーネス・ベルハンダ、チャンスメーカーのムバラク・ブスファといった実績と経験のある選手でセンターラインに構築しながら、レアル・マドリーで台頭した現在19歳のアシュラフ・ハキミを予選途中から躊躇なくスタメンに抜擢している。

 堅守と洗練されたパスワークを両立させているのが守護神ムニル・モハマディを後ろ支えとした最終ラインだ。経験豊富なベナティアと190cmで守備的MFを本職とするロマン・サイスが組むCBコンビは距離感が非常に良く、強引な突破を許さない。その一方でボールを持てばアンカーのエル・アーマディを加えた安定したつなぎでインサイドハーフや左右のウィングによる仕掛けを促している。

 サイドアタックのキーマンは左ウィングのハキム・シイェフ。オランダの名門アヤックスでスキルを高める万能アタッカーはブスファとのワンツーや鋭いカットインなど、多彩に相手ディフェンスを切り刻む。彼が脅威となることで、その外側から駆け上がるハキミのクロスなども効果を発揮されるのだ。右サイドからは31歳ながら推進力のあるドリブルを武器とするノルディン・アムラバトが縦に仕掛けて鋭いショートクロスに持ち込む。

 攻撃陣の前線に張る190cmのカリド・ブタイブは30歳の誕生日をむかえる直前にルナール監督が抜擢した遅咲きのFWだが、ガボン戦でハットトリックを決めて一躍エースストライカーに名乗りをあげた。その二番手を追走するラシド・アリウイも高さと得点センスを兼ね備える実力者だが、アフリカ王者としてクラブW杯に出場した23歳のアシュラフ・ベンシェルキも大きくはないが、縦のスピードを生かしたフィニッシュワークで明確なオプションになりうる。

 エジプトのサラーのようなワールドクラスのアタッカーはいないが、アフリカの猛者を封じてきた組織的な堅守と良質なパスワークを発揮できれば世界に驚きを提供する可能性は十分にある。

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