エジプトを大きく変えたエクトル・クーペル監督
【エジプト代表】
FIFAランキング:31位(2017年12月)
監督: エクトル・クーペル(2015年~)
7大会ぶり3回目の出場
最高成績:グループリーグ敗退(1934年イタリア大会、1990年イタリア大会)
アフリカ予選グループE 1位通過
アフリカ屈指の強豪国としてネーションズカップなどでは好成績をおさめてきたが、なぜかW杯予選に弱く、90年のイタリアW杯以来、実に7大会ぶり3度目の出場となる。
エジプトを大きく変えたのは2人の人物だろう。1人は15年の3月から就任したアルゼンチン人のエクトル・クーペル監督。もう1人が予選で5試合5得点をあげたエースのモハメド・サラーだ。組織的な堅守速攻を掲げるクーペルとワールドクラスのスピードと決定力を誇るサラーの相性は抜群で、運命的な出会いと言っても過言ではない。
2次予選でチャドを相手にアウェーで敗れる最悪の出だしだったが、ホームで4-0と大勝して切り抜けると、グループで1カ国しか本大会の切符を勝ち取れない過酷なレギュレーションにおいてコンゴとのアウェー戦に競り勝った。さらに最大のライバルだったガーナに2-0で快勝し、16年1月のネーションズカップでは準優勝。8月に再開した予選でウガンダにアウェーで黒星を付けられたものの、そこから2連勝でガーナとの最終戦を待たずして出場を決めた。
ベースになるのは基本ミドルサードあたりに形成する守備ブロックで、予選では1試合で複数ゴールを決められたことがない。プレミアリーグのWBAでプレーするアーメド・へガジが仕切るバックラインと万能型ボランチのモハメド・エルネニーが統率するディフェンスは堅固であり、開催国ロシアや南米の強国ウルグアイを相手にしても、そう簡単には崩されないだろう。
攻撃は中盤のエルネニーを主な起点として、右を根城とするサラー、トップ下のアブダラー・サイード、大型ドリブラーのラマダン・ソブヒという推進力の高い2列目に手数をかけることなくボールを付け、一気に相手ゴールを襲う。前線でのスタメンが有力視されるアーメド・ハッサンが191cmの高さでクサビのリターンパスをサラーなどに送ることができる。
二次攻撃になれば、エルネニーや相棒のタレク・ハメドも飛び出してミドルシュートを打つが、サラーをエースとした前の4枚で攻め切るのが基本型と考えて良い。バリエーションとしては左サイドバックのモハメド・アブデル・シャフィが積極的なオーバーラップでクロスを上げる。
本大会の相手を考えればボールを持つ、見方によっては持たされる時間帯も出てきそうだ。サラーのマークも厳しくなると予想されるため、百戦錬磨のクーペル監督としても、予選以上に攻撃のバリエーションやセットプレーの強化をして本大会に臨みたい。例えば右サイドで予選は主にサブだった右SBのエル・モハマディを試合によってスタメンに使うなどが有効だ。