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代表 7年前

未だ監督不在のオーストラリア。ケーヒルに頼らないチーム作りを【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回は監督の電撃辞任に揺れるオーストラリア代表を取り上げる。(文:植松久隆)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 植松久隆 photo by Getty Images

W杯出場も監督辞任。本大会は新指揮官しだいに

ティム・ケーヒル
ティム・ケーヒルはW杯半年前に無所属となった。この決断は本大会へ向けてどう転ぶか…【写真:Getty Images】

FIFAランキング:38位(2017年12月)
監督:未定
4大会連続5回目の出場
最高成績:ベスト16(2006年ドイツ大会)
アジア予選グルーB 3位。シリアとのアジア予選プレーオフ、ホンジュラスとの大陸間プレーオフを勝ち抜き予選通過

 オーストラリア代表のスタイルを語るとき、先日、電撃辞任したアンジ・ポスタコグルー前監督について触れないわけにはいくまい。「ポスタコグルー前」と「ポスタコグルー後」で、そのスタイルは大きな変化を見せた。

 伝統的に物心ともに多大な影響を受けてきたイングランドサッカーの亜流として捉えられる時代が長く続いた豪州のサッカー。1990年代末期から2000年代初頭、ハリー・キューウェルやマーク・ヴィドゥカのらのいわゆる「黄金世代」が育ったことで大きな進歩を遂げる。伝統のフィジカルサッカーに個々のスキルの高さを組み込んだスタイルは、かの名将フース・ヒディングによって率いられたチームの32年ぶりのW杯出場という形に結実した。

 ヒディング時代からは、育成年代の強化など一貫してのオランダ流の時代がしばらく続き、1トップの両脇にウィングを配置する4-3-3フォーメーションに有望な選手を当て込む画一的な強化が続けられた。そのオランダ流には限界があると、それまでの方針を一大転換させて、豪州サッカー界に新しい風を吹き込んだのがポスタコグルーだった。

 生粋のパスサッカー信奉者であるポスタコグルーによって、フィジカルを前面に出す選手よりは技術を重視される人選が続き、長年の課題だった世代交代の遅れは一気に解消され、中盤にはかなりスキルの高い選手が揃うようになった。しかし、この方向性にも限界が見えてきたことで、今回のW杯最終予選では予想外の苦戦を強いられ、2つのプレーオフを勝ち抜いての薄氷の出場権獲得となった。

 今後のサッカルーズがどのようなスタイルを志向するかは、2月中旬までには決まるという新監督の人選によるところが大きく、ここで断定的な話を進められない。ただ、確実に言えるのは、わずか6ヶ月後に迫るW杯でチームを率いる新監督は、W杯本大会で現有戦力の持てるものを最大限に引き出せる人材が求められる。

 となれば当然、ポスタコグルー体制での今までの積み重ねの延長線上で、そのスタイルをある程度は踏襲することが基本線になる。ただ、国内で様々な物議を醸した3バックの維持は新監督しだいだろう。3バック転換後のアジアでの苦戦を顧みれば、世界のトップと伍するW杯での4バックへの回帰を推す声は根強い。残りの時間で3バックの練度を上げるか否かなどの具体的な戦術を含め、新監督の人選がチームの行く末を左右してくるのは間違いない。

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