バルサらしいセルジ・ロベルト&らしくないパウリーニョの活躍
レアル・マドリー0-3バルセロナ
ジダン、バルベルデ両監督の采配が興味深いクラシコだったが、その前にこの試合で活躍した2人の選手について触れたい。バルセロナのセルジ・ロベルトとパウリーニョだ。
セルジ・ロベルトはバルサのカンテラ出身。止める・蹴る・運ぶの技術が安定している非常にバルサらしい選手である。一方、今季新加入のパウリーニョは豊富な運動量と球際に強いMF。パスワークはバルサの中では今ひとつだが、ゴールゲッターとしての才能が素晴らしい。これまでのバルサにはいなかったタイプの選手だ。
バルサBの10番でキャプテンだったころのセルジ・ロベルトを見たことがあるが、「これでバルサの10番なのか?」と思ったものだ。技術は洗練されているものの、ドリブルで抜ける速さはないしフィジカルが強いわけでもない。こぢんまりした上手いだけの選手にしか見えなかった。トップに昇格してからはSBや守備的MFなど、手薄なポジションに便利屋のように使われていた。特別な才能はないかわりに何でもそつなくこなせる。バルサ・スタイルを熟知しているので判断力に滞りもない。
パウリーニョは守備力と得点力が売りという特異なキャラクターがバルサとどう融合するのか想像しにくかった。個の能力は間違いないが、それがバルサにフィットするようには思えなかった。
今回のクラシコで、セルジ・ロベルトとパウリーニョはバルサのキーマンだったといえる。キャラクターの違う2人だが、ともにバイプレーヤーとして気の利いた動き、献身性とインテリジェンスで勝利へ大きく貢献した。
ボールのないプレーで2人が輝けたのは、他の選手のボールテクニックがそれだけ図抜けているからだ。フリーランニングやポジショニングの威力は「タイミング」とともにある。バルサの選手はパウリーニョを除いて全員がピタリと足下にボールをコントロールできる。全くブレない、余分なタッチもない。ボールを持った選手が上手いので、ボールを持っていない選手がタイミングを計れる。セルジ・ロベルトがバルサBで平凡な選手にしか見えず、パウリーニョが広州恒大のときとある意味別人なのは、本人よりも周囲が違っているからだ。