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バルサのクラシコ快勝、影の立役者・パウリーニョ。懐疑論覆した“異端”の恐るべき嗅覚

text by 舩木渉 photo by Getty Images

パウリーニョの傑出した得点力。バルサの“異端”は新たな武器に

パウリーニョ
パウリーニョは16試合出場で6得点。MFとしては異質の得点力を備えてバルサの中盤で欠かせないピースに【写真:Getty Images】

 前節のデポルティボ・ラ・コルーニャ戦でも2ゴールを奪ったパウリーニョは、チャンスになれば必ずゴール前に顔を出している。好機と見るやリスクを冒してペナルティエリア内まで進出し、ボールのこぼれてくるところが事前にわかっていたような立ち位置で待ち構える。その野性的とも言える嗅覚は、バルサの新しい武器となった。

 現実主義者のエルネスト・バルベルデ監督の考えともマッチしているように映る。バルサのスタイルを貫き通してゴールを狙うだけでなく、時になりふり構わずゴールを奪わなければならない場面もある。そんな時にはパウリーニョのような一見して“異端”とも捉えられがちな選手を使うことで、勝つための戦いをするのである。

 クラシコでも29歳の屈強なブラジル人は輝いた。バルサの2点目につながるPKを奪ったシーンでも、ゴール前に侵入していたパウリーニョがこぼれ球をヘディングで押し込もうとして、ダニ・カルバハルのハンドを誘った。中盤からリスクを冒して飛び込んでいなければ生まれなかったPKだった。

 前半は相手のマンマークに苦しみ、持ち味を発揮できていなかったが、自由を手にすれば神出鬼没の動きはマドリーを混乱に陥れる。パウリーニョの真骨頂である得点に絡むアタックが、マドリーの心をへし折る決勝点を生んだ。

 2点目を奪われ、ハンドで決定機を阻止したカルバハルの退場によって数的不利に陥ったマドリーに反撃するだけのパワーは残されていなかった。ホームでのクラシコを落としたことにより、首位バルサとの勝ち点差は14ポイントに。まだ4位ではあるが、勝ち点差13ポイントで降格圏16位に沈むレバンテの方が、バルサよりも近い。マドリーの逆転優勝は絶望的になったと言えるだろう。

 従来のバルサの伝統に意外性と爆発力をプラスαしたパウリーニョの加入とその活躍は、周囲のスーパースターたちの中で見逃されがちだが、バルベルデ体制における重要な武器となっている。

(文:舩木渉)

【了】

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