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上位進出も可能なデンマーク。確立したポゼッションスタイル、浮沈の鍵握る大黒柱エリクセン【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回はグループCに入ったデンマーク代表を取り上げる。(文:鈴木肇)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 鈴木肇 photo by Getty Images

欧州予選で覚醒した絶対的司令塔・エリクセン

クリスティアン・エリクセン
デンマーク代表のクリスティアン・エリクセン【写真:Getty Images】

【デンマーク代表】
FIFAランキング:12位(2017年12月)
監督: オーゲ・ハレイデ(2016年~)
2大会ぶり5回目の出場
最高成績:ベスト8(1998年フランス大会)
欧州予選グループE2位通過
欧州予選PO対アイルランド戦5-1(2戦合計)

 EURO2016出場を逃し、15年続いたオルセン体制の後を引き継いだノルウェー人ハレイデ監督によって新たな一歩を踏み出したチームは、予選ではポーランドの後塵を拝したもののグループ2位に入り、プレーオフで難敵アイルランドを下して2大会ぶりの本大会出場を決めた。

 予選の前半は迷走を続けた。ハレイデ監督は自らの代名詞とも言える3-5-2をおもに採用したが、ホームでモンテネグロに敗れるなど5試合で2敗を喫するなどスタートダッシュに失敗。すると指揮官は、6月のカザフスタン戦から「4-3-3に変更する」と明言して3バックに別れを告げる。これが吉と出て、大一番となった9月のポーランド戦を4-0で大勝するなど後半の5戦を4勝1分で終えた。

 チームの生命線はポゼッションサッカー。3トップとエリクセンが頻繁にポジションを入れ替えながら細かくパスをつないでゴールに迫る。だが、手詰まりになったときに融通が利かないのが弱点だったオルセン監督時代と比較すると攻めのパターンは豊富になった印象だ。

 エリクセンが「(ハレイデが就任してから)ダイレクトプレーが増えた」と話すとおり、マイボールにするや否や、相手の守備が整う前に手数をかけずゴールに迫る場面が見られるようになった。さらに先述したポーランド戦では、相手はダイアゴナルな動きに対処するのが苦手であるというスカウティングのもと、ロングボールを多用した。

 ディフェンスも主将ケアと守護神シュマイケルを中心に安定しており、大崩れすることはない。最終ラインの前ではベテランのクヴィストと俊英ディレイニーが防波堤となり、ピンチの芽を摘み取る。

 チームの中心はエリクセンだ。これまで「代表チームでは活躍できない」と批判を浴びてきた25歳は、今予選で覚醒した。オルセン監督時の成績は57試合6得点だったが、ハレイデ体制下では18試合で15得点をマーク。今予選に限っていえばプレーオフ第2戦でハットトリックを達成するなど12試合で11ゴールを記録。名実ともにアタッカーをけん引する存在となり、予選突破後は地元メディアから「ラウドルップのようだ」と絶賛された。

 ハレイデ監督も「エリクセンのおかげでデンマークはあらゆるチームにとって脅威となる」と大きな信頼を寄せる。

 だが一方で、「エリクセンに依存している」と言えなくもない。組み立てからフィニッシュまで攻撃のあらゆる場面に顔を出すこのエースが不調に陥った場合、チームの戦力はガクンと低下する。予選におけるFW陣の最多得点者はN・ヨルゲンセンとコーネリウスだが、その数はそれぞれわずか2。

 しかも相手は格下アルメニアとカザフスタンだった。本大会では前線の奮起が欠かせない。N・ヨルゲンセンは昨シーズンのオランダリーグで得点王のタイトルを獲得していることからもわかる通り、得点力は備えている。エリクセンとともに攻撃を引っ張る存在に成長するか注目だ。

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