選手だけでなく所属チームに活動停止、降格処分が下される可能性も
発表当時は連日、メディアをにぎわす一大スキャンダルに発展したが、実は8月頃から既にサッカー協会らが八百長の捜査を進めているとの情報が出ていた。9月にもサッカー協会のスポークスマンが八百長を行ったチームに対して近く処分を下すとの発言をしている。そして、11月21日になってサッカー協会が警察と共に会見を開くに至った。
11月21日の会見でジャカティップ長官が語った内容によると、選手には刑事処分として5年以下の懲役または20万バーツ以上50万バーツ以下の罰金、審判には1年から10年の懲役または30万バーツ以上60万バーツ以下の罰金などが科される可能性がある。また、サッカー協会の規約によれば、所属したチームに対しても1年から3年の活動停止(復帰の可否、カテゴリーは再度検討)、および協会が支給した助成金の返金などが科される恐れがある。
同日の会見でソムヨット会長は1年近く調査を進め来たと話した。そして、サッカー界では10年近く八百長が蔓延ってきたが何も行動がなされなかったとし、サッカー協会の元幹部も関与した疑いがあることすら匂わせている。そして、「癌があるなら手術しなければならない。痛みは伴うが、治るチャンスがある」と強い決意を示した。
タイのサッカー界では以前から八百長の存在がささやかれてきた。タイでは昨年も2人の元審判が八百長に関与したとしてAFCから永久追放処分を受けたばかりだ。2012年のタイのFAカップ決勝でも、主審を務めた日本人審判に八百長が持ちかけられた、と言われている。現在、既に騒動は落ち着き、チームへの処分も科される予定はない。ただ、ソムヨット会長は最近、さらなる関係者の告発も視野に入れている旨の発言をしている。なにより、会長自身が前警察長官でもある。今回を機にサッカー界から腐敗一掃となるのか、調査の行方を見守りたい。
(取材・文:長沢正博【バンコク】)
【了】