攻撃の中枢を担うグリーズマン
【フランス代表】
FIFAランキング:9位(2017年12月)
監督: ディディエ・デシャン(2012年~)
6大会連続15回目の出場
最高成績:優勝(1998年フランス大会)
欧州予選グループA 1位通過
W杯ロシア大会に臨むフランス代表の特徴は、若い才能が揃っていること。とりわけ攻撃陣には、今大会で大ブレイクの可能性もある優秀なタレントが出現している。
その筆頭が、何十年に一度の逸材と言われるパリ・サンジェルマン所属のティーンエイジャー、キリアン・ムバッペだ。さらには今夏ドルトムントからバルセロナに移籍したウスマヌ・デンベレ、昨季モナコの優勝に多大な貢献をしたトマ・ルマール、バイエルンのキングスレー・コマン、マンチェスター・ユナイテッドで今季絶好調のアントニー・マルシャルら、ディディエ・デシャン監督が頭を悩ませるほど人材は豊富だ。
彼らが織りなすスピード感あふれる攻撃が、現代表を象徴するプレースタイル。ディフェンスラインの前にエンゴロ・カンテという卓越したボールゲッターを据え、彼と連動して攻撃展開できるポール・ポグバ、ブレイズ・マテュイディらが固める中盤、そしてハイテンポなビルドアップに順応できるサイドバックを備え、カウンター攻撃時には最小限のパス数で瞬時に相手ゴール前までボールを運んでしまう。
彼らのカウンターアタックは、どの対戦相手にとっても脅威となることだろう。また、センターフォワードにオリビエ・ジルーを置いた別オプションもある。
いずれにしても展開を司るのはユーティリティ役のアントワーヌ・グリーズマンだ。攻撃エリアでフリーロールを与えられている彼が、ゴールゲッターとしても、セットアップ役としても、レ・ブルーの攻撃の中枢を担う。
その重責を負うだけに、不調に陥るとチーム全体のパフォーマンスも低調になる傾向があるが、その点では挽回は可能。昨年のユーロでも、いまひとつ波に乗れない大会序盤でディミトリ・パイエが得意技のプレースキックで得点を決めて流れを変えた。ビッグトーナメント初体験の若手メンバーが期待どおりのパフォーマンスを発揮できなかったとしても、誰かが補えるという層の厚さが強みになっているからだ。
ただ手薄なのが、ここ数年人材不足が続くサイドバック。右はシディベがナンバー1チョイスだが、2番手は34歳のクリストフ・ジャレ、11月に初招集のバンジャマン・パバールと、やや戦力が落ちる。左も、現代表のベスト左SBであるバンジャマン・メンディが、今夏シティに移籍した直後の9月に右ひざの十字靭帯を損傷していまだ療養中だ。
また、W杯のような大会ではたったひとつのミスや唯一のチャンスをものにできたかどうか、といった微かな違いが勝敗を決める。それを左右する判断力といった部分で、今予選での戦いぶりを見ていても現メンバーには未熟さが感じられるのと、実力をコンスタントに発揮できるかという点でもまだ発展途上。そのマイナス要素を、彼らの溢れるエネルギーが凌駕できるなら、フランスには優勝争いに絡めるだけのタレントは揃っている。