ルヴァンカップの実績から出場機会を増やした手塚康平
原副理事長は2017シーズンのルヴァンカップ全59試合における、21歳以下の選手のエントリー(ベンチ入り)数、先発数、先発+途中出場数を2016シーズンと比較したものを公表し、いずれも数字が大きく伸びていることを強調した。
たとえば1チーム平均のエントリー数は2.04人から3.16人に、先発数は1.00人から1.64人に、先発+途中出場数は1.42人から2.17人にそれぞれ増えている。そして、ルヴァンカップで実績を勝ち取り、リーグ戦へと羽ばたいた代表として柏レイソルのMF手塚康平をあげている。
中学時代からレイソルのアカデミーで育った21歳の手塚は、ニュージーランドのセミプロクラブでのプレーをへて2016シーズンにレイソル入り。今年3月15日の清水エスパルスとのルヴァンカップ・グループリーグ初戦で公式戦初先発のチャンスを得た。原副理事長が続ける。
「たまたま僕も見に行っていたんですけど、開始3分でものすごいボレーシュートを決めて、その後はJ1でもずっとレギュラーで出ていました。直接フリーキックでゴールも決めています」
エスパルス戦における公式戦初ゴールは、ゴールまで約25メートルもある地点から、相手ディフェンダーのクリアを利き足の左足で直接叩き込んだ。ボランチに定着した手塚の台頭もあって、レイソルは前半戦のJ1で8連勝を達成し、一時は首位に立った。
8月5日のヴィッセル神戸戦で、右ひざの前十字じん帯と外側半月板を損傷。全治8ヶ月の重症を負い、現在は復帰へ向けてリハビリを積んでいるが、ルヴァンカップにおけるチャレンジが生み出した逸材という評価は色褪せない。
ベスト4に進出したベガルタ仙台では、富山第一高校から加入して3年目の21歳、FW西村拓真が台頭。ルヴァンカップのニューヒーロー賞を獲得し、リーグ戦でも6月以降にレギュラーとして定着。28試合に出場して2ゴールをあげている。
こうした結果を受けて、Jリーグでは2018シーズンから、ルヴァンカップの決勝戦でも同様のレギュレーションを適用することを決定。原副理事長は「ルヴァンカップで使われた若い選手が、リーグ戦でもポジションを取っていくいい流れができていくと思う」と手応えをつかんでいる。