若手育成に向けたカップ戦レギュレーションの変更
終わったばかりのシーズンを、緊急編集した非売品の冊子『J.LEAGUE PUB Report』とともに振り返る恒例のメディアブリーフィング。3回目を迎えた今年もJリーグの村井満チェアマン、原博実副理事長が登壇し、21日に東京・文京区のJFAハウスで開催された。
まずは原副理事長がピッチのなかにおける変化を総括。最終節における大逆転劇でJ1を制し、悲願の初タイトルを獲得した川崎フロンターレ、日本勢として9年ぶりにAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を制した浦和レッズを称賛する一方で、若手育成へ向けた取り組みで成果があったと強調した。
Jリーグは2017シーズンからYBCルヴァンカップのレギュレーションを変更し、決勝戦を除くすべての試合で、21歳以下の選手を1人以上、先発させることを各チームに義務づけている。
日本サッカー界では長く、ユース年代を終えた直後の若手選手たちの出場機会が大きく減少する問題を抱えていた。2014シーズンから発足させたJ3に、Jリーグ・アンダー22選抜を参戦させたのも解決策の一環だった。
J1およびJ2で週末の試合のベンチ入りから外れた、22歳以下の若手選手を試合前日に招集。一回の練習をへて、すべてアウェイで行われる公式戦に臨ませる。奇抜なアイデアはなかなか成果が見られないと判断され、2シーズンで活動を終えた。
2016シーズンからはFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪が、セカンドチームとなるU-23をそれぞれ発足させてJ3に参戦させた。同時に2009シーズン限りで終了していたサテライトリーグを復活させたが、ともにすべてのクラブが参加できる状況にはなかった。
そこで白羽の矢が立てられたのがルヴァンカップだ。前身のヤマザキナビスコカップ時代から若手の登竜門として位置づけられていたカップ戦のレギュレーション変更に、当初はクラブ側も難色を示していたと、浦和レッズやFC東京で監督を務めた経験をもつ原副理事長は振り返った。
「自分も監督をやっていたからわかりますけど、やはり力でポジションを取るべきだという意見も最初は多かった。ただ、レギュレーションなので監督も怖がらずに若手を使えました。使ってみたら意外とできるとわかったのか、平均で2人くらい出るようになっています」