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Jリーグ 7年前

横浜FMのポスタコグルー新監督、その哲学と本質。クラブと代表で積み上げた“革命”の実績

text by 植松久隆 photo by Getty Images

新天地でスタッフの顔ぶれは? ケーヒル獲得の噂も

ヴィドシッチ
ポスタコグルー監督と縁の深いラド(左)とダリオ(右)のヴィドシッチ親子がウェリントン・フェニックスを退団したが…【写真:Getty Images】

 さらに、ポスタコグルーがどんなコーチを連れてくるかも非常に興味深い。ブリスベン・ロア時代の腹心で、分析屋として名高いラド・ヴィドシッチが、ポスタコグルーの横浜FM新監督就任と前後するタイミングで、息子の元代表MFダリオ・ヴィドシッチと父子揃って前所属のウェリントン・フェニックスとの契約を解除して退団した。この話のタイミングがあまりに良すぎるのは偶然なのだろうか。

 2014年にごく短期間でベガルタ仙台の監督の座を追われたアーノルドの“失敗体験”があるだけに、豪州のフットボール界は、今回の決定を期待と不安半分で見守っている印象だ。

「アンジには、アーニー(アーノルドの愛称)の轍を踏んでほしくないから、アンジの成功を心より祈っている!!」

 これは、あるフットボールサイトに残されたローカルのサッカーファンのコメント。これこそが平均的な豪州のフットボールファンの偽らざる思いを代弁しているように思う。

 果たして、ポスタコグルーは監督としてJリーグで手腕を発揮、結果を残すことができるのだろうか。そんな予測はただでなくとも難しいのに、横浜FMの近況をまったく知らない筆者がそれを断ずる立場にはない。ただ、クラブ側がポスタコグルーと同じビジョンを共有して、同じ目標を戴き進めば、そこには何かしらの実りが待っている。ポスタコグルーはそうやって実績を積み上げてきた。そんな彼を、横浜FMサポーターは温かく見守って欲しい。フロントも短絡的な結果で判断することだけは避けてもらいたい。

 横浜FM行きが発表された21日の夜、スポーツ専門チャンネル『FOX』の番組で独占インタビューに応じたポスタコグルーは、「ポッと出てきて、とてもスムーズに進んだ」という今回の新しいチャレンジに関して、以下のように語った。

「彼らは、まだ重要なゲーム(天皇杯)を残している。そのタイトルを獲ればACLへの道が開ける。でも、私自身は、モンバエルツ監督と選手をリスペクトして、少し距離を置いて見守る」

「(補強に関して)現時点では、その必要があるのか、それとも現有戦力で戦えるのか、まだ分からない。ただ、横浜のチームに関してはある程度、把握している。というのも、ミロシュ(・デゲネク)のパフォーマンスを見るのに毎週試合をチェックしてきた。補強とか、そういう具体的な動きはすべて年明けに新体制が動き出してからということになる」

「ケーヒルの獲得? 正直に言って、ティミーの現状は知らない。でも、彼をよく知るものとして、いまだに次の移籍先が決まらないのには、とても驚いている」

 最後に、彼が指揮したクラブや代表の試合で良く掲げられたフレーズで本稿を締めたい。新監督のホームデビュー戦となる日産スタジアムで、このフレーズの横断幕を掲げてみてはいかがだろうか。初采配で、少なからず緊張している強面のオージー監督の口元も、これを見れば、少しは緩むこと間違いなしだ。

“In Ange, We Trust”

 我々はアンジを信じるーー信じる者は救われる、はずだ。

(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)

【了】

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