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Jリーグ 7年前

横浜FMのポスタコグルー新監督、その哲学と本質。クラブと代表で積み上げた“革命”の実績

text by 植松久隆 photo by Getty Images

36戦無敗を成し遂げたブリスベン時代。急転直下だった代表監督就任

 閑話休題。前置きがすっかり長くなってしまった。話の本筋に戻ろう。

 ポスタコグルーという監督が長年、自らのスタイルとして標榜してきたのは、前述のとおりの攻撃的なパスサッカーだ。ポゼッションを重視して、中盤にはテクニックのある選手を起用。ディフェンス、GK共に一定レベル以上の足元の器用さが求められる。クラブレベルでも、代表チームでもそれがブレることはなかったので、これは監督のスタイルというよりは信条と言った方が収まりがよい。

 無敗記録を続けていた頃のロアでは、GKはロングフィードを蹴らず、どんな時でも最終ラインから細かくパスを繋いで攻撃を組み立てていた。そんな徹底したパスサッカーは、バルセロナをもじって“ロアセロナ”と呼ばれる程だった。4-2-3-1(または4-3-3と表記される)の両ウィングを配置した4バックのフォーメーションでのその革新的パスサッカーは、一世を風靡。Aリーグのファイナルを2連覇して、ロアは一時代を築いた。

 その後、ポスタコグルーは、ギリシャからの移民として育った故郷メルボルンのビッククラブ、メルボルン・ヴィクトリーの監督に就任する。2012/13シーズンは低迷していたクラブの立て直しと選手の若返りを図りつつ、3位に導くことに成功した。

 さらなる上積みを期待された2013/14シーズン序盤、当時の豪州代表監督だったホルガー・オジェックが親善試合ながらブラジル、フランスに共に0-6で屈辱的大敗を喫して解任されると、ポスタコグルーに次期代表監督として白羽の矢が立った。メルボルン・ヴィクトリーをアシスタントコーチのケヴィン・マスカットに引き継ぎ、ポスタコグルーは、オジェックの後任として僚友グラアム・アーノルド以来となるオーストラリア人(筆者注:彼自身は生国であるギリシャとの二重国籍)の代表監督に就任した。

 急遽、サッカルーズを率いることになったポスタコグルーの最大のタスクは、オジェック体制下で滞っていた「世代交代」の促進であり、ベテラン偏重のチーム構成を改めつつチームの総合力を上げて、8ヶ月後に迫ったブラジルW杯に万端備えることにあった。

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