危機感を持ちながらも成功体験を上積みした1年
昨シーズンの無失点試合は『7』。対して今シーズンは『14』と2倍に伸びた。手応えも充実感もあったはずだが、大井は「気づいたらそうなっていたという方が大きい」と口にする。
「もちろん失点を減らそうと思ってきた。やっていく中で複数失点が少ないなとか、そういうのは感覚的にもわかるものだけど、相手ありきのことなので。本当に試合に勝てればなんでも良いと思う。でも、自分が貢献できるのは失点を減らすことだった」
宮崎はこの順位を「想像もしていなかった」と正直に打ち明けた。
「今年はよく勝ったなという試合が多かったので、チームとして成長してきている部分だと思う。今年新加入選手が入ってきて、勝ちに持っていけるようになってきたのかなと。ちょっと、強さも感じてきた1年だった。去年色々チャレンジしたことだったり、今年からこうやっていこうという上積みだったりがうまくハマってきているのかなと」
1試合1試合、危機感を持って臨み、その過程で得た成功体験の積み重ねがチームをより逞しくしていった。
「負けないゲームや自分たちが内容として押し込めるゲームが続いて、最後まで来たと思う。来シーズンへの想いというのはより強くなる。ただ、地に足をつけてやらないと。毎回言っているが、上位にいてあぐらをかいていたら残留争い、もしくは降格するクラブを何チームも見てきているので。一段一段という性格だし、一歩ずつ進んでいきたいと思う」
鹿島アントラーズとの最終節を終え、名波監督は語っている。期待も高まるが、上ばかり見て目先のことが疎かになっては本末転倒だ。得たものは多いが、現状のままで来シーズンも同じ結果を得られるとは思ってはいない。
望外の成果を無駄にしないためにも、歩みを止めてはならない。いつか再び頂点に君臨した時、2017年がきっかけだったと振り返るためにも。
(取材・文:青木務)
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