カミンスキーの良さが「いまひとつ伝わっていない」(名波浩監督)
カミンスキーの存在も最少失点の実現には不可欠だった【写真:Getty Images】
Jリーグベストイレブンは、柏レイソルで印象的なパフォーマンスを見せた中村航輔に譲ったものの、カミンスキーの存在も最少失点の実現には不可欠だった。
昨シーズンは『1試合に何度もファインセーブを見せる』という表現が大げさでないほど忙しかった。だが、今シーズンは際どいシュートを放たれる場面自体が激減。代わりにポジショニングの良さやキャッチングの技術で周囲を唸らせた。名波監督は手放しで称賛する。
「被シュート数が少ないからファインセーブも少ないんだけど、キャッチしている作業とかを評価してほしい」
一見すると弾き出すしかないようなボールも、ポーランド人守護神は何事もなかったかのように手中に収めてしまう。さらに指揮官は、ある試合でのビッグセーブを引き合いに出し、カミンスキーの魅力を説明する。
明治安田生命J1リーグ第32節・柏戦の77分だった。後に日本代表に選出される伊東純也がカットインから左足でシュートを放つ。素晴らしいコースに飛んだが、立ちはだかったカミンスキーが右手の指先で触るとボールはわずかに軌道を変えてポストに直撃した。
「靴二足分、前に出られるからグローブの先に触れる。カミックは前で触るからボールが曲がりきる前に触れちゃう」
この試合は前半にオウンゴールで失点し敗れたが、後半は磐田が反撃を見せていた。そんな中での伊東のシュートだったが、カミンスキーは集中を切らさず対応し、相手に追加点を許さなかった。「あいつはヤバイんだよ」と言う名波監督は、「それが今いまひとつ伝わっていないんだよなあ」と残念そうな表情を浮かべた。
大井が欠場の際にはキャプテンマークを巻くなど、カミンスキーはチームから厚い信頼を獲得している。