EURO、コンフェデ杯で露呈した不安要素
【ロシア代表】
FIFAランキング:65位(2017年12月)
監督: スタニスラフ・チェルチェソフ (2016年~)
2大会連続4回目の出場
最高成績:グループリーグ敗退(1994年アメリカ大会、2002年日韓大会、2014年ブラジル大会)
開催国のため予選免除
ベスト4に進出してヨーロッパに旋風を巻き起こしたEURO 2008から早9年。当時のロシア代表は、20代前半から中盤の選手たちが躍動する若くて勢いのあるチームだった。だが、もはやその時を知る者はほとんど残っていない。
アンドレイ・アルシャビンやロマン・パブリュチェンコ、ディニャル・ビリャレトディノフらはヨーロッパサッカーの第一線から消え、長くロシア代表を支えたヴァシリとアレクセイのベレズツキ兄弟や、セルゲイ・イグナシェビッチ、ロマン・シロコフといったベテランたちも後進に道を譲った。
まさに今、ロシア代表が迎えているのは世代交代にともなう過渡期。EURO 2016出場メンバーですら全体の3分の1ほどしか残っておらず、自国開催のW杯を控えながら、代表チームの総合力低下は目に見えて明らかなものとなっている。2014年のブラジルW杯はグループリーグの壁を破れず、出場国が「16」から「24」に増え、全体の3分の2もの国が決勝トーナメントヘ進めるEURO 2016でも為す術なくグループリーグ敗退に終わった。
そして極めつけは今年の夏に行われたコンフェデレーションズ杯である。W杯のプレ大会として、開催国のプライドを見せるべき舞台でグループリーグ敗退。ニュージーランドにしか勝利を挙げられず、ポルトガルとメキシコには力負けを喫した。
W杯に向けての不安要素として、経験不足も顕著になっている。予選が免除になったことで他のヨーロッパの国々が経験してきた本物の「公式戦」を長らく組めていない。さらにポジション別でいえば、特に最終ラインは長年君臨してきたベテランが代表引退を表明した後にレギュラーをつかんだ選手たちが中心で、主力のセンターバックに代表キャップ20試合を超えている選手がいないのである。
ほとんどの選手が国内組であることも考慮すると、トップレベルでの経験が圧倒的に不足している。ロシア代表の主力選手が多く在籍するCSKAモスクワやゼニトなど、欧州カップ戦の常連クラブですら、大陸全体で見れば存在感が希薄なことからもその不安は見てとれる。
EURO 2016での敗退を受けて就任したスタニスラフ・チェルチェソフ監督は、経験と実力で不安のある守備陣の強度を落とさぬよう、3バックを採用する現実的な道を選択した。それでも攻守のバランスにほころびがないよう要所を締めるのは、EURO 2008での躍進を知るユーリ・ジルコフやイゴール・アキンフェエフといったベテランたちといういびつな構造が、チーム状態の不安定さを物語っている。