特筆すべきデ・ブルイネの躍動ぶり
しかも、攻→守→攻→守の切り替えが90分にわたって持続し、意図が感じられるパスとそのボールを導くために5~6選手が連動するのだから、「凄ぇっ!」と表現するしかない。
守備意識は高くないとされてきたアグエロでさえも、プレスバックしてボールを奪い取るケースが多々ある。今シーズンのシティはとてつもなく厄介なチームだ。
そして、特筆すべきはデ・ブルイネである。
ダビド・シルバとともに前線と中盤をリンクするタスクを与えられているが、デ・ブルイネはスペイン代表MFよりインテンシティが高く、運動量も多い。さらに、戦術的な柔軟性と屈強な肉体まで兼備しているため、中盤インサイド、アンカー、ウイングなど、複数のポジションでの高度対応が可能であり、汚れ仕事もいとわない。
わかりやすくひと言で説明するなら、〈アーティスティックなハードワーカー〉。世界にも類を見ないタイプである。大半の主力がキャリアハイといって差し支えないパフォーマンスを見せている今シーズンのシティにあっても、デ・ブルイネは明らかに別格だ。次世代のキング候補として、より注目されるに違いない。
先述したスパーズ戦を4-1と圧勝したシティは、ビッグ6との直接対決でも5戦5勝。開幕前にライバルといわれたチームとは異次元であるかのようだ。
グアルディオラ監督が懸念した最終ラインの人材不足(先述)も、選手のコンバートや得意とする可変型のフォーメーションで、難なく乗り切ってしまうかもしれない。
レフェリーを買収するとか、ロッカールームに忍び込んで飲食物に細工するとか、社会倫理に反した行動でも起こさないかぎり、現在のシティは止められそうにない。
(文:粕谷秀樹)
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