中盤の起点が重要であると示された日韓戦
E-1の韓国戦はゲームコントロールの拙さも目立ったが、中盤で相手のプレッシャーを吸収して、周囲の味方に前を向かせる選手がいなかった。
終盤に阿部浩之が入るまではほとんどロングボールのこぼれ球からしかチャンスを作れなかった実情を見ても、相手の裏を狙うスタイルでも中盤の起点は重要であることが逆説的に示された試合だった。
ハリルホジッチ監督としてはその役割を担う候補が清武であり、中国戦で負傷した大島僚太だったかもしれないが、海外組が加わる3月の選考では本田や香川、柴崎岳などが有力候補になってくる。
本田がこれまで起用されてきた右サイドは浅野拓磨、久保裕也の常連組に加え、E-1組では数少ない“発見”である伊東純也もいる。また3試合にフル出場した小林悠もセンターFWとの兼用でフルメンバーに入ってくる可能性もある。
インサイドは[4−3−3]にしても[4−2−3−1]にしても中盤の2枚はボール奪取力に優れる守備的MFから構成される傾向が強く、基本的には1枚となるため、23人枠ではオプション的な起用を加味しても最大3人ほどだろう。
そこを柴崎、香川、清武、森岡、ボランチも兼ねる長澤や大島、小林祐希と争う形となり、非常に厳しい競争となる。
ただ、やはり全体のゲームコントロールや相手のプレッシャーを吸収できる能力、さらには勝負どころのゴールに絡む仕事と言った役割をこなせるのは本田の強みだ。
現在の本田が戦術的により機能しやすいのはインサイドだが、右サイドも兼ねるマルチロールとしてアピールできればハリルホジッチ監督も23人を計算しやすいだろう。もちろん、ここから良好なコンディションをキープしていくことが大前提になる。
(取材・文:河治良幸)
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