研究されるインテル。長友にも再び出番到来か
ベンチに甘んじる長友だが、再び出番も?【写真:Getty Images】
一方で、インテルの方にもやはり機能をしていなかったものはあった。スパレッティ監督いわく、それはやはり後方からのビルドアップ。「我々がこれまで違いを見せてきたのは繋ぎだった。これまでもよく機能しない試合はあったが、試合の終盤になれば盛り返してきた。しかしそれがなかった」と指揮官は語っていた。
オッドの戦術によってそれが阻害されたのは前述の通り。しかしそれにも増して、ミスが多かった。最近の試合でトップ下として機能していたマルセロ・ブロゾビッチも、この日はミス連発。後半にその修正としてロベルト・ガリアルディーニが投入されるも、乱れたパスワークの回復はならなかった。
守備では5バック気味に引く相手の守備の前では、サイドにもスペースが生まれない。イバン・ペリシッチやアントニオ・カンドレーバも、後方からのパス出しが阻害されたことでスピードアップが測れない。そしてチームとしての攻撃が硬直してしまえば、それを打開できる手が少ない弱点もこの試合で晒されてしまった。
スパレッティ監督は69分に乱調のサントンを諦め、ヤン・カラモーを投入した。彼の優れたスピードと個人技で打開を図ろうという狙いだったが、まだ線の細い19歳には荷が重く、屈強なウディネーゼの3バックの網をこじ開けることはできなかった。
スパレッティ監督もカラモーを機能させるため、ペリシッチとカンドレーバをウイングバックに張らせた3バックに変更し、相手の守備陣を横に広げてスペースを作ろうとした。しかしその通り機能しないばかりか、ただでさえ狙い撃ちにされていた後方のスペースをガラ空きにするというおまけも付いた。さらにエデルを投入し3トップにしても、ウディネーゼの守備の密集を助長させるだけになった。ビハインドを付けられた状況でリスクを掛けるのは仕方ないとはいえ、スパレッティには珍しい失策という印象も受けた。
ナポリが勝ったため、インテルは守備から転落。戦術の厳しいセリエAでは、日程が一巡すれば対策が確立される。研究を尽くして臨んでくる相手を次々に破り、後半戦を戦い抜けるのか。それに向けての課題を改めて突きつけられた格好となった。
さてこの日は出場のなかった長友佑都。ベンチメンバーに回った彼の名前が試合前にコールされると、スタンドからは歓声が上がっていた。12日のコッパ・イタリア5回戦ポルデノーネ戦で、試合を締めるPKを決めたことの余勢だろう。
この日のインテルを見る限りでは、守備面におけるスピードとサイドのカバーを安定してこなしてきた彼に遠からず出番が回ってきそうな印象も受けた。その際に安定感の伴ったプレイで、チームを勝利に導けるかどうかが求められる。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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