17戦目で初黒星。新進気鋭の指揮官に弱点突かれる
ウディネーゼ戦で今季初黒星を喫したインテル【写真:Getty Images】
「こんな退縮が発生するとは、私自身予想だにしなかった」
インテルがホームで1-3と敗れたウディネーゼ戦後の記者会見で、ルチャーノ・スパレッティ監督はうなだれた。速攻と堅い組織守備で盤石の強さを見せ、内容の悪い時でも終盤にはものにしていた彼らだが、17戦にして初めて訪れた敗戦は、そんな”強み”が見られなかった。
前節はユーベ相手に敵地でドロー。「ユーベのようなパワーと意欲を養いたい」とスパレッティ監督は語っていたが、その矢先にこのような結果になった。力の上乗せどころか、今まで見せた強みさえ影を潜めた内容。一体、何が起こっていたのか。
まずは相手が、インテルを攻略する上でどういうサッカーを展開したかに注目なければならない。マッシモ・オッド監督が途中就任して4戦目のウディネーゼは戦術上綿密な準備を図り、修正しながら貫徹した。
まずは高い位置からのプレスで、インテルの低い位置からの組み立てを阻害すること。ボールホルダーを素早く囲み、ボールを奪う。そしてその後には、スピードと運動量を持ち味とする2トップでインテルのDFラインの裏を突いてきた。
2トップを長身ながらスピードのあるケビン・ラザーニャと、ファンタジスタタイプのロドリゴ・デ・パウル。これまでの試合ならば裏に抜けたFWには、ミラン・シュクリニアルやミランダが着実にカバーリングをし、1対1でボールを奪っていたところ。ところがウディネーゼの2トップは、この彼らを振り切った。そして14分には、右のサイドアタックも突破も絡めて先取点。ラザーニャは期待通りにシュクリニアルのマークから逃れ、ダビデ・サントンを翻弄してエリア内に侵入したシルバン・ウィドマーのクロスをフリーで押し込んだ。
しかもこれでは終わらない。オッド監督はアプローチにも手を加えた。「前からプレスを掛けようとしたがうまくはまらなかったので、あえてチーム全体の重心を下げた」。最終ラインの位置を10mほど下げ、敢えてインテルを前に出させる。そしてボールを奪えば、ウイングバックを使って積極的にサイドを攻め、一層前かがりになった相手の背後をついた。2点目はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を介し宣告されたPKによるものだったが、その要因となったダビデ・サントンのハンドはやはりサイドからの速攻で生まれている。その後も彼らは面白いようにインテルをカウンターで攻めたて、3点目まで奪った。
かつてはラツィオやミランで活躍した元イタリア代表は、プロ監督となって3年目ながら戦術家のサッカー指導者として評価を得だしている。その面目躍如といったところだが、とにかく彼の戦術により、インテルの堅い組織守備もスピードで裏を突かれたら弱いということがさらけ出されたわけだ。