攻撃の中心として躍動する香川、2戦連続で決定的な仕事
新体制で好調なプレーを見せている香川真司【写真:Getty Images】
62分、アンドリー・ヤルモレンコが、ピエール=エメリク・オーバメヤンとのワンツーでペナルティエリア内に侵入する。ウクライナ代表FWからパスを受けた香川が、ステファン・ポシュに右足で引っ掛けられて、PKを獲得。これをオーバメヤンがきっちり決めて、同点に追い付く。
「あの時間、あの攻撃の形というか、あれに至るまでみんなが良い距離感でボールを繋げたから、オバにも入ってましたし、アンドレ(ヤルモレンコ)にも入って、良い距離感でみんなが、少ないタッチでできたので、僕が自然とゴール前に入って行けたので。それまで効果的な、流動的な(攻撃が)ね、やっぱりビハインドってこともあって、硬さもあって生まれなかったんですけど、あの攻撃だけ唯一連動性が生まれた中で、最後はPKでしたけど、(流動的な)攻撃になったので。ああいうところは、やっぱり引かれた相手だったりすると、崩していかないとなかなか崩れるもんじゃないから。やっぱりああいうところで、どこか人数掛けていかないとなかなか崩せないのかなとは思います」
「チームの雰囲気はさらに上がっていった」。70分にも、香川を中心に連動性を発揮して中央突破を図ったドルトムント。終盤に向かってホッフェンハイムの組織が崩れてくると、前半に比べれば、少し余裕を持ってボールを回せるようになった。
そして、試合が1-1のまま終わるかに思われた89分。エリアの手前、ナディム・アミリの背後にポジションを取った香川は、マハムート・ダフートからパスを受けると、前を向いて緩やかなスルーパスを出す。右サイドからクリスティアン・プリシッチが走り込む。アメリカ代表FWは、ワンタッチでGKオリバー・バウマンをかわすと、左足インサイドでボールをゴールに押し込んだ。
「シュート打とうと思ったんですけど、自分のシュート力は分かってるんで、まぁ遠かったですし、相手も来てたんで。より可能性をあげるために、あそこ、本当に、なんだろ、最後の最後の判断といったら変ですけど、足元に出すか裏に出すか。その前に一回アンドレに出そうとしたのがあって、オバからリターンもらって。あれが繋がらなかったんですけど、ダイアゴナルで出すと相手はたぶんついてこれないんで、それが結果として生まれたことは良かったと思います」
このプリシッチのゴールが決勝点となり、ドルトムントは1-2で逆転勝利。リーグ戦の順位は、暫定的にではあるが、CL出場圏内の3位に上がった。
前節マインツ戦ではゴールで、そして今節ホッフェンハイム戦ではアシストで試合を決定づけた香川。
シュテーガー新体制で、水を得た魚のように、躍動を始めている。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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