“欧州組偏重”もやむを得ない
ハリルホジッチ監督も「代表候補を沢山見たかった」と今大会の狙いを口にし、後半には日本代表デビューとなる三竿健斗(鹿島)まで送り出したが、韓国戦だけで見ればロシア行きの挑戦権を得た人間は誰1人いなかったと言っても過言ではない。2015年3月の同指揮官就任以降、“欧州組至上主義”とも言えそうなメンバー構成がたびたび批判の的になっていたが、今回の日韓戦を見る限りでは、それもやむを得ないだろう。
GKに関しては、中村が2~3本の決定的シュートを防いだものの、「優勝という結果が達成できなかった以上、自分たちは評価されるべきではない」と本人も言うように、日本のゴールマウスを22歳の守護神に託せるという絶対的信頼を与えられるところまでは至らなかった。
とりわけ、ハイボールの処理には不安を残した。シュートストップやセービングは高く評価される彼も、高さの部分はどうしても物足りない。その穴をいかに埋めていくかが課題として突き付けられた。
守備陣もハリルホジッチ監督がここ最近、固定している酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、槙野智章(浦和)、長友佑都(インテル)の牙城を崩す人間の出現が求められたが、彼らに一番近かったはずの昌子でさえキム・シンウクに好きにやられてしまった。
「1失点目はいろんなことで迷ってしまった。何を言われようと明らかに僕の力不足」と本人も自戒を込めて語ったが、このままではロシア行きが危うくなる可能性すらゼロではないかもしれない。
中国戦で新境地を開拓した植田直通(鹿島)にしても、競り合いではよさを見せていたが、右サイドバックとしてはどうしても不慣れな印象は否めなかった。ロシアで戦うセネガルなどにはキム・シンウク以上の高さとパワーを誇る選手もいるだけに、植田をどう扱うかは今後に向けて検討すべき1つのテーマかもしれない。