ほとんど“2軍”に近い日本とは明確な差
韓国はジンクスを恐れていた。
2010年5月24日、埼玉で行われた試合で2-0と勝利したのが、日韓戦最後の勝利だった。レジェンドであるパク・チソンがゴールを決め、まるでお散歩をするかのような余裕っぷりを見せたあの試合だ。
ワールドカップの目前で宿敵の韓国に敗北、日本サッカー界を揺らしたあの試合以来、韓国は7年の間に行われた5試合の日韓戦で3分2敗と未勝利だった。マスコミもファンも「日本相手にはそろそろ無理なのではないか」という認識が広まるほどだった。近年の韓国は不安定さが露呈していただけにそうした懸念も無理もないものだった。
そうした意味では、韓国にとってこのE-1選手権という大会は、今までの不名誉な成績のうっぷんを晴らす絶好のチャンスだった。韓国はキ・ソンヨン(スウォンジー)やソン・フンミン(トッテナム)、グ・ジャチョル(アウクスブルク)と言った顔ぶれは今回招集されていないものの、特に守備では本腰を入れていた。
今回起用されたメンバーのほとんどは、ロシアW杯のレギュラーになる可能性が高い。FWのキム・シヌクもソン・フンミンの相棒として活躍するはずで、元G大阪のイ・グノもメンバー入りが有力だ。GK三人のうち、キム・ドンジュン(城南FC)以外の二人、キム・ジンヒョンやジョ・ヒョンウは既に当確といっても過言ではない。ほとんど2軍に近い日本のメンバーとは実績と華麗さに明らかな差があるのは確かだった。
この理由で筆者は韓国が勝利を収めると確信していた。今大会の2試合でも韓国はいい試合をしながら結果だけが得られなかった。チーム全体の調子は上げつつあった。ある意味、日本戦に向けて選手全員のコンディションを整えているかのような印象もあった。
韓国は北朝鮮戦直後、トレーニングをせず選手たちに休息の時間を与えた。余裕というよりは、選手たち自身が日本戦の重みを熟知していることのほうが大きかった。
「日本にはじゃんけんでも負けてはならん」
恐ろしい言葉だが、それが韓国の底力なのかもしれない。