12月に入りPSGが体験した“中だるみ”
実際、12月に入って、PSGは“中だるみ”を体験していた。リーグ戦では、昇格したばかりのストラスブールに今季初めての敗戦を喫し、その3日後に行われたチャンピオンズリーグのバイエルン戦にも3-1で敗れて2連敗。
たちまちメディアは「PSGにクライシス到来!」と煽ったが、次のリール戦に3-1で勝利して、敗戦のスパイラルを断ち切ったことで鎮火した。
開幕から首位を独走し、2位に9ポイント差をつけている彼らの気がふっと緩んだかのような失速で、勝ったとはいえリール戦でもたびたび集中を切らしていた彼らについて、敵将も「もし今日が決勝戦だったとしたら、PSGの優勝はない、と答える」と印象を語っていた。
チャンピオンズリーグ第5節のセルティック戦に7-1で快勝したあと、「まだまだ改善の余地はあるし、自分たちを戒める部分はたくさんある」と会見で話したエメリ監督に、ル・パリジャン紙のPSG担当ドミニクは、「7-1、6-2、5-0といった大勝を重ねていて、具体的にどこをどう戒めるのか?」という質問を投げた。
すると指揮官は、「ロッカールームでは、0-0だったモンペリエ戦や辛くも2-2で終えたマルセイユ戦などを常に思い出し、なぜそのような結果になってしまったかを忘れないように説いている」と答えた。
ポジティブにとらえるなら、今回の中だるみも戒めになっているはずだ。そして、選手たちがハングリー精神をかきたてられる最大級のビッグマッチであるレアル・マドリー戦では、最強のPSGが拝めることだろう。
ただしその気合が空回って経験豊富なレアルのペースにはまらないことを祈りたい。これまで越えられなかったスペインの壁を、そのために招聘されたネイマールがぶち破ることができるだろうか。
(取材・文:小川由紀子【パリ】)
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