この大会にかける韓国の思いはそこまで高くない
「日韓戦に勝ち、W杯で負けたらどうするんだ」
13日付の『ハンギョレ新聞』にて韓国のレジェンドであるチャ・ボムグン氏が話した内容だ。このセリフが韓国の世論とは言えないが、少なくとも私はチャ氏の意見に強く同意している。
韓国と日本は16日に運命の日韓戦に挑む。2017 E-1選手権で韓国は中国と2-2で引き分け、北朝鮮には1-0の辛勝を収めた。一方、ホームの日本は2連勝を飾っている。最後の日韓戦でこの大会の決着がつく形になる。構図としては面白い。
だが、そもそもこの大会にかける韓国の思いはそこまで高ぶっているわけではない。確かに韓国サッカーに関する世論は良くはなかった。8月と9月、イランやウズベキスタン相手にお粗末な試合をし、悪化の一路をたどっていたとも言える。
しかしこれを機に世論の風向きを変えようとした試みは11月の時点で既に成功している。コロンビアとセルビアとの親善試合で挽回してしまったのだ。
もちろん両国とも時差ぼけなどがあったことなどは否めないが、W杯出場国との試合でも攻撃的に、自信を持って試合に挑めば勝てるということをホームグラウンドで証明したのは大きかった。少なくとも韓国国民にはある種の癒しになったのかもしれない。
今回は韓国にとって特にモチベーションのない大会と言っても過言ではない。11月の試合はFIFAが認める国際試合週間だったため欧州組を全員招集したが、今大会はそれができないため、国内組とJクラブ勢、中国勢でチームを作った。
もちろん完全に捨てた大会ではない。シン・テヨン監督は出国直前の記者会見で“守備ラインは今回招集した選手たちを中心に固めていきたい”という意見を示している。元Jリーガのキム・ジンスやキム・ミヌが競い合う左サイドバックのポジションは今大会の成績でレギュラーが確定する可能性もある。
だが一方で攻撃陣は完全なるテストと見たほうがいい。今までシン・テヨン監督が一度も呼んだことのないジン・ソンウクやイ・チャンミン(どちらも済州)を招集している。ソン・フンミンがいない時の想定ではある。結果を出せばW杯メンバー入りを果たすかもしれないが、現時点で彼らがワールドカップのメンバーになるというのは想像しがたい。文字通りテストなのだ。