EURO2016ではベスト8に進出
ノルマ:1勝
目標:決勝トーナメント進出
ベスト8に進出したEURO2016の熱は冷めることなく、ポーランド国内は多幸感に包まれているという。グループステージでドイツ代表と0-0のドローを演じ、準々決勝では優勝したポルトガル代表を相手にPK戦までもつれ込んだのだから、ある種のユーフォリアも当然と言えば当然だ。代表チームに対する期待は依然として高い。
もっとも、17年9月1日に行われたグループE第7戦、対デンマーク戦で0-4と大敗した後では、少しばかり現実に引き戻されたところもあるようだ。
ロシアW杯本大会でグループHに入ったポーランドは、コロンビア、セネガル、日本と同居。南米勢では11月にウルグアイとテストマッチを行ったが、10年以上W杯出場から遠ざかっていた上、親善試合を通してもヨーロッパ勢以外との対戦経験は乏しい。
12年10月の南アフリカ戦以来、アフリカ勢と試合を行ったことはなく、アジア勢との対戦は11年10月の韓国戦にまで遡る。今後は本大会を想定したテストマッチが組まれるはずだが、ほとんどの代表選手たちにとって、ロシアの地では“未知との遭遇”が待ち受ける。
よって現実的な目標は決勝トーナメント進出で、ノルマは1勝ということになるだろうか。同じ旧共産圏かつ近隣国での開催のため、環境への適応は問題ないだろう。レバンドフスキが爆発し、何より守備陣が安定すれば、トーナメント1回戦の相手次第ではベスト8も狙えるはずだ。
アダム・ナバウカ監督は11月のテストマッチで3バックを試したが、基本フォーメーションは4バックを軸とする[4-2-3-1]、[4-1-4-1]、[4-4-2]。レバンドフスキ、ヤクブ・ブワシュチコフスキ、ウカシュ・ピシュチェクといった“香川真司の新旧同僚”以外で注目選手を挙げるならば、SSCナポリ所属のピオトル・ジエリンスキだ。
ジエリンスキは、切れ味鋭いドリブルと正確なラストパスでチャンスを演出する10番タイプ。セリエAだけでなく、チャンピオンズリーグの出場経験も豊富な23歳は、徐々に代表でもキーマンとして頭角を現し、欧州予選では全試合でスタメンを飾って6アシストを記録。予選突破の原動力となった。
靭帯損傷で負傷離脱中の同僚FWアルカディウシュ・ミリクが本大会に間に合えば、ジエリンスキとミリクの“ナポリ・コンビ”は、グループHのどの対戦国にとっても脅威となるはずだ。
守備陣の中心はASモナコ所属のカミル・グリク。ピシュチェクのオーバーラップを支える29歳の重鎮だ。昨シーズンのCLでは、守備の要としてチームのベスト4進出に貢献。マンチェスター・シティ、ボルシア・ドルトムント、ユベントスといった欧州のビッグクラブを相手に堂々と渡り合った。
各ポジションに粒は揃う。ロシアW杯本大会で、EURO2016の再現を狙うポテンシャルは、十分にあるのだ。
(文:本田千尋)
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