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日本代表 7年前

GK中村航輔が収穫という皮肉。ハリル方式優先で連係乏しく、あくまでも個のテストに【西部の目】

E-1選手権初戦、日本代表はアディショナルタイムの決勝ゴールで辛くも勝利した。急造の寄せ集めに近いメンバー構成となった今大会だが、日本チームを率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、所属クラブでの連係を活かすというよりも、監督が目指すスタイルの実践を優先。結果として選手間のコンビネーションは乏しく、探り探りの試合運びに。完成度の高い北朝鮮に圧倒される格好となった。(取材・文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ナビゲーション・システムが付いていない

日本代表
アディショナルタイムのゴールで北朝鮮代表に辛くも勝利した日本代表【写真:Getty Images】

【日本1-0北朝鮮】

 ブラジルのレジェンドで読売クラブ(現在の東京ヴェルディ)の特別コーチだったジノ・サニは、プレーメーカーのラモス瑠偉について、「頭の中に地図が入っている選手」と、評したことがあった。現在なら地図ではなくてカーナビだろうか。北朝鮮戦の日本にはナビゲーション・システムが搭載されていなかった。

 世界選抜などで、初めて組む選手同士が見事な連係プレーをみせることがよくある。ディエゴ・マラドーナは、優れた選手とコンビネーションを確立するために要する時間について「10分」と回答していたものだ。

 しかし寄せ集めのチームが、地図を見ながら道を探るようなプレーになるのは無理もない。「次の信号を右です」と知らせてくれるシステムなしで目的地を目指すことになる。

 E-1の日本代表は寄せ集めに近い。そこで少しでも連係を確立しようとするなら、クラブチームでのコンビネーションをそのまま使うか、監督がパターンを導入することになる。

 前者の方法、極端にいえば川崎フロンターレをほぼそのまま日本代表にしてしまえば、北朝鮮戦はずっと良いプレーができただろう。だが、ハリルホジッチ監督の選択は後者なのだ。相手のディフェンスラインが引ききる前に裏のスペースへ蹴ってFWが追う、これまでの代表で使っていたやり方に当てはめた。

 その結果、

「背後へのボール、それを引き出す動きも少なかった。クラブでのプレーをしてしまった」(ハリルホジッチ監督)

 想定内といっていい。監督も「1回の練習で習慣を変えるのは難しい」と話している。平日は1日2回の練習を代表チームとして行い、週末だけ所属クラブで活動する北朝鮮とはチームとしての完成度が違っていた。

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