右サイドで鋭さと異彩放つ秘密兵器になれるか
そしていま、リオデジャネイロ五輪世代の浅野や久保と同じ土俵に立とうとしている。特に同じくスピードを武器とする浅野と比較されると、伊東は畏敬の念を込めながらちょっぴり困惑する。
「プレースタイルは一緒ではない。自分には自分のよさ、拓磨には拓磨のよさがある。ただ、拓磨もオーストラリア戦でのワンチャンスをものにしたところは、すごいなと思っていました」
ハリルホジッチ監督から及第点を与えられた、約34分間のA代表初陣。伊東本人も「前に、前にという推進力は出せたと思う」と前向きにとらえながらも、もちろん満足はしていない。
クロスは味方に合わなかったし、放ったシュートはゼロで、レイソルで何度も見せた中へ切れ込んでのコンビネーションも出せなかった。将棋で言う「香車」になるだけでは、ロシアへは生き残れないと伊東本人が誰よりも自覚している。
「クロスの最後の精度もそうだし、もっとチャンスも作れた。もっともっと自分のよさを出して、チームを勝たせられるように。もっと長い時間プレーできるように、アピールしていきたい」
前身の東アジアカップ時代。ザックジャパンで臨み、初優勝した2013年大会は、国際Aマッチ出場歴がゼロだった選手は続々とデビューし、そのうちFW柿谷曜一朗やMF山口蛍(ともにセレッソ大阪)をはじめとする6人が、翌年のワールドカップ・ブラジル大会代表に選出されている。
右サイドでナイフのような鋭さと異彩を放つ秘密兵器となるために。12日に中国代表、16日には韓国代表と続くE-1選手権の戦いで、ロシア行きの切符をもぎ取るための伊東の挑戦は続く。
(取材・文:藤江直人)
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