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日本代表 7年前

無名の存在からハリルJのジョーカーへ。柏・伊東純也が右サイドにもたらす推進力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

50m5秒8のスピードに加わったバリエーション

柏レイソルでも右サイドで攻撃のアクセントになっている伊東
柏レイソルでも右サイドで攻撃のアクセントになっている伊東【写真:Getty Images】

 指揮官が待ち焦がれた、ジョーカーになりうる存在だ。フロンターレを撃破した10月25日の天皇杯準々決勝。視察に訪れていたハリルホジッチ監督は、伊東についてこう言及していた。

「非常に気になる、興味深い選手だ」

 浦和レッズのMF長澤和輝を含めて、自分の目で見て、ピンときた選手のほとんどがラージリストに追加されてきた。国内組だけで臨むE-1選手権は、可能性をアピールする絶好の舞台だった。

 何が指揮官を魅了したのか。50メートルを5秒8で走破する、日本人屈指の韋駄天ぶりだけではない。相手を抜き去った後のプレーのバリエーションが、いまの伊東にはどんどん増えている。

 レイソルでも主戦場は右サイド。タッチライン際を駆け抜けてからのクロスはもちろん、左側へ切れ込んでから左足でシュートを放ち、味方とのコンビネーションも駆使して相手ゴールに迫る。

 たとえば8月13日の清水エスパルス戦では、自陣から発動されたカウンターに素早く反応。約60メートルもの距離を疾走し、そのままゴールネットを揺らす離れ業を演じてみせた。

 もっとも、神奈川・逗葉高校時代から、自らに「速いだけの選手とは思われたくない」と言い聞かせ続けてきた男は、続く同19日のガンバ大阪戦では「柔のプレー」で非凡さを存分に見せつけた。

 右タッチライン際でロングパスを受けると、縦へ突破すると見せて中央へ旋回。戸惑うガンバの守備陣をさらに翻弄するかのように、左足でカーブをかけた、芸術的な一撃をゴールに吸い込ませた。

 守備でも献身的な姿勢を見せ続け、レイソルでは試合状況によって右サイドバックに入るユーティリティーぶりも披露。E-1選手権の代表に抜擢したハリルホジッチ監督は、伊東をこう称賛していた。

「スピードがあり、仕掛けられ、違いを生み出せる面白いタイプの選手だ。90分間を通してアップダウンを繰り返せるし、チームの規律を守るタイプでもあるだろう」

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