「サイドで違いを生む彼の姿を評価したい」(ハリルホジッチ監督)
虎穴に入らずんば虎子を得ず、とばかりに仕掛け続けた。ピッチに入ってわずか1分後。DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)からの縦パスが、わずかながらずれた。それでも、簡単にはあきらめない。
懸命に右足を伸ばし、ボールをイーブンの状態に戻した次の瞬間だった。真っ先にこぼれ球を拾い、縦へ飛び出してクロスを放った。4分後にも縦への突破からコーナーキックを獲得した。
攻めるだけではない。日本が相手ペナルティーエリア内に攻め込み、ボールを失うやいなや猛然とプレスバック。相手を追い抜き、ボールを奪い返し、そのまま前を向くシーンも2度数えた。
この大会で初めて顔を合わせる味方とのコンビネーションもさえた。77分には同じく途中出場のFW川又堅碁(ジュビロ磐田)とのワンツーを成功させ、再び右タッチライン際を抜け出した。
そして、冒頭で記したビッグプレー。試合後の公式会見に臨んだハリルホジッチ監督は、勝利以外のポジティブな収穫として、中村とともに伊東の名前をあげることを忘れなかった。
「ボールをもったら仕掛けて、相手を抜くことができていた。そういう選手がチームにプラスをもたらした。仕掛ける能力や抜き去る能力など、サイドで違いを生む彼の姿を評価したい」
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