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日本代表 7年前

【識者の眼】ハリルJ、攻撃の新機軸。北朝鮮戦で見えた「縦の2トップ」が秘める可能性

text by 河治良幸 photo by Getty Images, Wataru Funaki

W杯に向けた“ソリューション”発見なるか。2トップは新たなオプションに

川又堅碁
川又堅碁(左)や土居聖真(右)もE-1でのアピール次第で貴重なオプションになるか【写真:Getty Images, 舩木渉】

 最後の得点シーンを振り返ると、相手のリスタートからの攻撃を室屋が奪い、左に展開されたボールを阿部が左に開いた川又へ出し、ファーサイドへのクロスを攻め上がった今野が冷静に折り返すと、バイタルの中央に走り込む井手口が右足でしっかりミートしてゴールネットを揺らしている。この時、左に開いた川又に代わり、小林が鋭く斜めに走ることでペナルティエリア内に4人いた北朝鮮のディフェンスを引き付けた。これは小林を残した記録には残らない効果だ。

 欧州遠征の最初にハリルホジッチ監督は[4-2-3-1][4-3-3]に続く“第3のオーガナイズ”として[4-3-1-2]の採用を示唆するコメントを出しており、今回の形は[4-2-3-1]の中のオプションであるかもしれない。アルジェリア代表監督時代も形上は[4-2-3-1]のまま、起用する選手のタイプを使い分けることで戦術的なメカニズムの違いを生み出していた。

 重要なのはストライカーやセンターFWタイプの選手を前線に2人起用するプランがあるということで、それが明確になれば今回のE-1に限らず、選択するFWやサイドのチョイスにも影響が出て来るかもしれない。例えば1トップであれば大迫勇也がファーストチョイスだが、縦の2トップを使う場合は岡崎慎司や杉本健勇が有力になるかもしれない。大迫と金崎、大迫と川又、大迫と小林といったバリエーションもイメージできる。

 E-1の残り2試合でどの形が採用され、誰が起用されるかは分からないが、清武弘嗣に代わり追加招集された土居聖真も純然たるトップ下よりはセカンドトップでフィニッシャーとしても振る舞えるタイプのため、彼を北朝鮮戦で小林が後半途中から務めた中央のポジションに入れることで、また新たな発見があるかもしれない。ハリルホジッチ監督はもともと固定的なシステムや戦術にこだわるタイプの指揮官ではなく、引き出しが増えれば増えるほど相手の対策に応じた戦い方を選択しやすくなる。

 すでにロシアW杯グループリーグ3試合の相手はコロンビア、セネガル、ポーランドに決まっているが、それぞれのプランを想定しながら、まずは目の前の中国、韓国にどういうオーガナイズの“ソリューション(解答)”を導き出すのか。優勝タイトル、そして選手の生き残りをかけたアピールに加えて要注目の見所だ。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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