先発出場濃厚と見られる中国戦がまさに試金石に
日本代表の1トップ争いは目下、鉄板の大迫勇也(ケルン)以外はほぼ横一線。国際Aマッチ111試合出場50ゴールの岡崎慎司(レスター)を筆頭に、武藤嘉紀(マインツ)、金崎、杉本、興梠慎三(浦和)と全員が2018年ロシアワールドカップメンバー入りにしのぎを削っている状態だ。
川又はここまでノーチャンスだと見られていたが、この日を境に序列が変化しそうな雰囲気も出てきた。実際、184cmの長身で、ヘディングの競り合いに強く、スピードも強さも兼ね備えたFWというのは、日本人にはそうそういない。抜群の身体能力を誇るこの男が覚醒してくれれば、ハリルホジッチ監督にとっても心強いはずだ。
彼がFWのラストピースに名乗りを上げるために必要不可欠な条件は、やはりゴールという結果だろう。ハリル体制発足2戦目だった2015年3月のウズベキスタン戦(東京・味の素)で代表初ゴールを挙げてはいるものの、それは2年半以上前の話。
今の日本には絶対的得点源になれるゴールハンターが不在。欧州組にもゴールを量産している選手はいない。だからこそ、川又がどこからでも点を取れる選手になってくれれば、理想的なシナリオだ。
「俺のゴールが欲しい。マジで」
彼はそう語気を強めたが、E-1選手権の残り2戦でそれを果たさなければ、明るい未来は開けてこない。来年3月の日本代表戦はロシア本大会を見据えたメンバーで挑む方向であるため、新戦力が一気に台頭しようと思うなら、ここでやるしかない。
4年前の大会でも柿谷曜一朗(C大阪)が大会通算3ゴールを挙げると同時に、宿敵・韓国を下す原動力になったことで、2014年ブラジルワールドカップ行きを射止めたが、同等かそれ以上の仕事が求められてくる。
先発出場濃厚と見られる第2戦・中国戦は重要なまさに試金石。川又堅碁が苦しんだ2年間で体得したものを全て出し切れるか否か。日本を勝たせるゴールを奪えるか。そこに注目して、その一挙手一投足を見極めたい。
(取材・文:元川悦子)
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