現実味を帯びる「海外」。E-1でインパクト残しステップアップできるか
そのうえで、オーストラリア戦のようなゴールを決めてくれれば、まさに理想的。今回の日本代表には絶対的得点源と言える選手がいないだけに、中盤からも積極果敢にゴールを狙っていくべきだ。「ミーティングでも中盤の選手がシュートだったり、点に絡む仕事をしていかないといけないと言われたので、絡んでいけるように頑張りたいです」と背番号2を着ける若武者は虎視眈々とゴールに突き進んでいく。
この大会で国内組をはるかに超えるクオリティを示せれば、夢である欧州移籍も近づいてきそうだ。11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦の後、井手口は「トップクラスの選手たちとやれたので、海外でやるという気持ちは多少出てきました」と語っていて、早ければ年明け早々にもそういう話が具体的に浮上してもおかしくない状況になっている。
ロシアW杯直前というタイミングでリスクも少なからずあるが、本人は「タイミングに関しては人が意見を言うことなんで、自分は思ったことを貫き通してやっていければ一番いい」とキッパリ言い切った。納得できるオファーが来れば、リスク覚悟で突き進む覚悟を彼は初めて示した。
それだけの高い意識を持ってのぞむE-1だからこそ、井手口は日本を2大会ぶりの王者へと導くような傑出したパフォーマンスを見せる必要がある。2013年韓国大会では山口蛍(C大阪)がMVPを獲得し、一気にステップアップしたが、それを上回るほどのインパクトを残してほしいところだ。伸び盛りの21歳のダイナモには、何も恐れることなく、思い切って自分の全てを出し切ってもらいたい。今大会の成否は彼の一挙手一投足にかかっていると言っても過言ではない。
(取材・文:元川悦子)
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