サプライズとなったローマの首位通過。新スタジアム建設にも追い風か
そしてローマは、2強相手から素晴らしい結果を挙げた。第1戦ではA・マドリーに攻め込まれながらも堅守でドロー。そしてチェルシーとの2連戦では1勝1分だ。
スタンフォード・ブリッジでの第3戦では大胆にもダニエレ・デ・ロッシをベンチに置き、20歳のジェルソンを先発させる。しかしコンディション重視で組まれたメンバーはスピードとランニングの勢いでチェルシーと互角以上に渡り合い、3-3のドローに持ち込んだ。
続く第4戦では、第3戦でベンチスタートだったデ・ロッシにステファン・エル・シャーラウィ、そしてアレッサンドロ・フロレンツィを先発起用。前半は攻め込む相手からカウンターで狡猾に2点を奪うと、後半は逆に、サイド攻撃を取っ掛かりにしてラインを大胆に押し上げる戦術で敵のイレブンを分断。
アントニオ・コンテ監督のお株を奪うかのように時間帯で守備も使い分け、無失点で大勝。A・マドリーがカラバフ相手に2試合連続のドローを喫する間、チェルシーから2戦で勝ち点4を稼いだことがグループ1位通過への大きなアドバンテージとなった。
昨季と比較し、モハメド・サラーとアントニオ・リュディガーを失っている分、戦力上はダウンしている。だがその欠落をチームマネジメントで補い、若手を育てて層さえも厚くした。エル・シャラウィはチェルシー戦で2ゴールと復活し、ジェルソンやロレンツォ・ペレグリーニも戦力になっている。そこにエディン・ジェコやラジャ・ナインゴラン、新加入のアレクサンダル・コラロフら国際経験豊富な選手たちがしっかりと主軸を固め、非常にバランスが整った選手構成に仕上がっている。
「誰もが我われが3位以下で終わると見ていた。だが私は、この選手たちを信じていた」
ディ・フランチェスコ監督は胸を張った。決勝トーナメント進出を決めた5日には、新スタジアム建設計画にローマ市から完全承認が下りた。勢いをつけて、この先の戦いでも更なるサプライズを起こしたいところだ。
高らかに復調をアピールすることができるのは、あくまで今後の戦い次第だ。ユーベとローマはCLで、そしてナポリはELで更なる高みを目指す。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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