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Jリーグ 7年前

横浜F消滅の実際。「葬式の日にドンチャン騒ぎ」のようだった天皇杯優勝【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Getty Images

いろんな意味で日本サッカー界の転換期に起こった出来事

 それでも書籍を出せなかったことがバネになって、その後もフリーのライターとしての活動はしばらく続けていました。AERAでも横浜FCの記事を何回か載せてもらったし、サッカー以外のスポーツの取材もいろいろやっていました。

 ただ、結婚して子供が産まれて以降は、体力的に取材が厳しくなってきましたね。雑誌の世界の状況も、この10年くらいでかなり様変わりしましたし。(原稿)1本の単価とかも、恵まれていた時代に仕事をしていた人間からすると信じられないくらいに下がってしまって。それもあって、こっち(西宮市)に引っ越してからは、Webの編集のほうにシフトしていった感じですね。

 この間、昔の原稿を読み返してみたんです。書き手としての未熟な面ばかりが目について(笑)。今にして思うとフリューゲルスの消滅は、いろんな意味で日本サッカー界の転換期に起こった出来事でしたよね。

 あれがあったから、J2とかJ3とかができて、市民チーム的なクラブが主流になっていったし、大企業に依存しない市民クラブがどんどん増えていったのだと思います。一方で思うのが、当時の全日空のリストラを完全に否定できないところもあったんじゃないかと。

 あれを断行したからこそ、9.11(2001年のアメリカ同時多発テロ)の危機を乗り切ることができた面もあったと、今になって思うんですよね。もちろん、それは企業側の論理ですけど。

 私にとってのフリューゲルスですか? 初めてのスポーツの取材対象でしたね。ただ、これまでのスポーツの仕事をランキングにした場合、ベスト10には入るだろうけど、少なくともナンバーワンではないです。

 私のナンバーワンは、車椅子の社交ダンスの取材中に聞いた話が、死ぬまで忘れられませんでした。ですから「フリューゲルスの悲劇」は、私の中では6番目か7番目くらいですかね。やっぱり冷たいですか(笑)。

<文中敬称略>

(取材・文:宇都宮徹壱)

【了】

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