公私ともに仲の良い清武との相乗効果を
期待に応えるだけの底力は彼にはあるはず。2015年大会(中国・武漢)での日本は川又や興梠慎三(浦和)といったFW陣が不発に終わり、3戦未勝利でまさかの最下位に沈んだ。その二の舞を避けるためには、どうしても点を取るべき選手に取ってもらう必要がある。
2013年大会(韓国・ソウル)で柿谷曜一朗(C大阪)が得点王に輝き、2014年ブラジルワールドカップへの道をこじ開けたように、金崎にもチームを勝たせる仕事に徹してもらいたい。
ゴールという結果を現実にするためにも、周囲との連係を向上させ、攻守両面でスムーズなプレーができる環境を整える必要がある。初戦まで5日間しか準備期間がないため、そのハードルは非常に高いが、金崎には清武という最高のパートナーがいる。
大分トリニータ時代の2008~2009年の2シーズンをともに過ごし、ニュルンベルクでも半年間一緒にプレーした1つ下の清武とは公私ともに仲がいい。古巣・大分がJ3降格を余儀なくされた2015年のJ2・J3入替戦も揃って観戦に出かけたほどの深い絆が彼らにはある。
繊細なパッサーである清武とゴールへ突き進むエゴイストタイプの金崎とは特徴も性格も異なるが、彼らが競演することで日本代表に相乗効果がもたらされるのは間違いない。
この日のゲーム形式の練習でも、清武が金崎にタテパスを送り、清武がゴール前の空いたスペースに飛び込むという好連係を披露。ハリルホジッチ監督からも「イエス」「ブラボー」という言葉を贈られた。彼らがあうんの呼吸でプレーしてくれれば、周囲にいる小林や阿部、井手口といった面々も合わせやすい。前線の2人が攻守両面でスイッチを入れる役目をしっかりと果たしてくれれば、日本は思惑通りの戦いができるだろう。
不言実行の男・金崎夢生がピッチ上で雄弁な仕事を見せられるか否か。そこに今大会の成否、そして彼自身のロシア行きの行方がかかっている。
(取材・文:元川悦子)
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