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Jリーグ 7年前

社会現象化した横浜F消滅。「合併劇」を追ったフリーライターの記憶【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

「Jリーグのとあるチームに大変なことが起こる」

 日本サッカーとの接点ですか? 当時はそんなになかったですね。もともとスポーツは何でも好きで、サッカーについては86年のワールドカップ・メキシコ大会からTVとかで観ていました。

 でも社会人になってからは、せいぜいアトランタ五輪を(TVで)観ていたくらい。Jリーグはすでに始まっていましたけど、最初の頃はなかなかチケットが取れなかったし、その後はあまりTVでもやらなくなったし。

 まさか、のちに自分がフリューゲルスに関わるとは夢にも思わなかったです。結局、97年の終わりくらいまで出版社で働いて、それからフリーになりました。

 フリーのライターになったのは、社内的な事務作業から解放されて、書くこと一本に専念したいというのがありました。世の中的には不況の真っ只中でしたけど、当時はライター稼業でも普通に食べていけました。

『週刊SPA!』とか『別冊宝島』とか、少しして『AERA』とかに書いていたけど、当時はページ単価が良くて4万から5万くらいでしたかね。今はどうだかわからないですけど、勤めていた頃と変わらないくらいの年収は確保できていました。

 ちょうどその頃、『サッカーチャット』という日本代表を応援するサイトがあって、チャットや掲示板の書き込みでよく出入りしていました。チャットも掲示板も、今の人はよくわからないですかね。要するにネット上の言論空間で、そこには今もサッカー業界で仕事をしている有名人とかいたんです。

 当時はニフティの『サッカーフォーラム』が有名で、そこから流れてくる人もいましたね。ちょうどワールドカップ(フランス大会)の予選の頃だったので、けっこう荒れることも多かったですが。

 そこではみんなハンドルネームを持っていて、私は〈SPEED〉と名乗っていたんですけど、〈クーマン〉とか〈ベベット〉とか自分が好きな選手を付けている人も多かったです。あと、仕事でJリーグに関わっている人とかも結構いたんですよ。

 ちょうど、フリューゲルスの合併が報じられる前日でしたかね。〈カントナ〉と〈セルジオいちご〉というハンドルネームの人たちが「Jリーグのとあるチームに大変なことが起こる」みたいなことを書き込んだんです。

 他の人たちが「どんなこと?」とか「どのチームだよ」とか聞くんだけど「明日の朝刊を読めばわかる」としか答えない。そんなやりとりが深夜遅くまで続いていたように記憶しています。

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