4年前の覚悟を胸に。清武弘嗣は再び日本代表の中心へ
ただ、11月2連戦の後半に攻めに出たように、攻撃のスイッチを入れられる攻撃的MFは必要不可欠だ。その枠を清武は香川、森岡亮太(ワースラント・ベフェレン)、柴崎岳(ヘタフェ)らと争わなければならない。
目下、香川はドルトムントで停滞感を打破しきれず、柴崎は負傷離脱中。森岡はチームでは好調だが、いかんせん代表での実績が少ない。こうした面々と今の清武は横一線の状態と言っていい。しかしながら、今回のE-1で傑出したパフォーマンスを示して、日本の勝利の原動力になれれば、風向きは一気に変わる。最近のセレッソではプレースキッカーを丸橋祐介やソウザに譲っているものの、もともとフリーキックやコーナーキックの精度は日本有数のレベルにある。その大きな武器を前面に出すことで、差別化を図ることもできるのだ。
3月を最後に代表から遠ざかった間、清武は「今の自分は代表選手じゃないんで」と自分に言い聞かせるようにコメントし続けてきた。「代表のことは考えていない」とも繰り返し発言していた。
だが、ブラジルWのでコロンビア戦(クイアバ)でラスト8分間の出場に終わった後、「4年後は自分がキャプテンマークを巻いてやるという目標が出てきた。そういう自分がピッチに立っている姿を想像して、この4年間を過ごしていければいい」と堂々と口にした言葉は決して消えることはない。もちろん彼自身の中にも深く刷り込まれているはず。その夢を現実にしようと思うなら、数少ないアピールの場であるE-1に全てを注ぐしかないのだ。
清武が尊敬する長谷部のように周りを的確に動かし、自らも生きるような統率力と責任感を示してくれれば、日本代表は必ずいい方向に進む。2015年大会(中国・武漢)で4チーム中最下位という屈辱的な結果に終わったリベンジを果たすべく、日本屈指のファンタジスタは蓄えてきた底力を今、ここで爆発させてくれるだろう。今大会の日本の命運はこの男にかかっていると言っても過言ではない。
(取材・文:元川悦子)
【了】
★W杯予選まとめはこちら★