先頭を走った清武弘嗣。ケガを乗り越え9ヶ月ぶり代表復帰
12月9日の北朝鮮戦から開幕するEAFF E-1サッカー選手権2017 決勝大会(E-1)。東京・味の素スタジアムでのホーム開催とあって、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表にとっては絶対に負けられない大会だ。
ところが、11月29日に発表された23人のメンバーのうち、西大伍(鹿島)が右ひざ負傷でいち早く離脱。左肋骨骨折が判明した杉本健勇(C大阪)も離脱濃厚となってしまった。新たに初代表の室屋成(FC東京)と2年ぶりの復帰となる川又堅碁(磐田)を追加招集したものの、戦力的に厳しいのは間違いない。
そんな苦しい状況だからこそ、12月4日に都内で行われた事前合宿初日の冒頭ミーティングで、指揮官は「新しい選手も、これまで選ばれていた選手も関係なく、(2018年)ロシアW杯のメンバーに入るチャンスだ。一切遠慮はいらない」と選手たちを力強く鼓舞したのだろう。
その後、選手たちは25分間のランニング、ボールコントロール練習、狭いエリアでの5対2、体幹トレーニングを1時間半に渡って消化したが、今年3月のロシアW杯アジア最終予選・UAE(アル・アイン)&タイ(埼玉)2連戦以来の復帰となった清武弘嗣(C大阪)が昌子源(鹿島)と談笑しながら先頭を走った。
長谷部誠(フランクフルト)、吉田麻也(サウサンプトン)ら欧州組の年長者がいる時の彼は控え目な振る舞いを見せることが多かったが、今回の代表チームは国内組のみ。2014年ブラジルW杯経験者であり、国際Aマッチ43試合出場5得点という、34歳の今野泰幸(G大阪)に次ぐ実績を誇る28歳の司令塔は「自分がみんなを引っ張らないといけない」という自覚を強めているはず。その思いがこうした行動に現れたのだろう。
ちょうど1年前の2016年11月の最終予選・サウジアラビア戦(埼玉)で香川真司(ドルトムント)をベンチに追いやり、トップ下で先発出場した時には、清武がロシア行きの危機に瀕するなど、誰一人として想像しなかったに違いない。それほど高度な戦術眼を誇るテクニシャンは光り輝いていた。ところが、今年に入ってスペインの強豪セビージャから古巣のセレッソ大阪へ移籍すると、予期せぬ壁にぶつかる。その最たる要因が4度のケガだった。