急成長遂げたセネガル代表DF。W杯では日本の脅威に?
さてW杯組み合わせ抽選の結果、日本はコロンビア、ポーランドとともにセネガルと対戦することになったが、そのセネガルの守備の重鎮がナポリで活躍している。カリドゥ・クリバリである。ユベントス戦でも当然出場。イグアインのカバーに遅れ失点には絡んでしまったが、それ以外のシーンでは能力の高さを見せつけていた。
187cm89kgと大柄な体格を活かし、空中戦もコンタクトプレーも当然のように強い。ただ凄いのは、その巨漢がウイングプレイヤー顔負けのスピードで走れることだ。この日も縦に飛び出したイグアインやディバラを追走しては、追いついてスライディングでボールを奪っていた。
ナポリには2014年から所属。身体能力の高さを見せつける一方で穴も多い荒削りな選手だったが、2015年にマウリツィオ・サッリ監督が就任してからは急成長。カバーリングが上達し、相手の戦術上重要なパスが前線に通ればそれを確実に潰す。正確なボールコントロールで守備から攻撃への切り替えにも貢献できるようになった。ナポリの高いディフェンスラインは、彼がいてこそ成立するものだ。
セネガル人の両親のもとフランスで生まれ育ったが、2015年に「心の問題」という理由でセネガルを選ぶ。中心選手として活躍し、3月にロンドンで行われたナイジェリアとの親善試合では、セネガルサッカー協会の手違いで入金がなされず、寝床を失いかけたチームのために全選手分の宿泊代を立て替えたことがニュースとなっていた。
なお当時は「資金難に直面するセネガルサッカー協会を救った」などと報道されていたが、本人はツイッターにて「セネガルサッカー協会からは立て替え分の入金があった」と発表している。
日本代表の戦術においては、前線でボールを収める大迫勇也の存在が重要なものになっている。その彼に対峙するのは、アンデルレヒトのエンボジ・カラとともにこのクリバリとなるだろう。ここを潰されることなく、基準点を確実に作れる攻撃ができるかどうかが、日本vsセネガル戦での重要な戦略ポイントの一つとなりそうだ。
プレミアリーグやリーグ・アンで活躍する選手の多くが名を連ね、イタリアではトリノのエムバイエ・ニアンも招集されているセネガル代表。対戦国選手を各国リーグでチェックするのも、W杯までの楽しみの一つである。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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