長友は3試合連続で出番なし
さて長友佑都だが、この日もベンチスタートとなり3試合連続で出場がなかった。後半終了間際にアップは命じられたものの、声は掛からなかった。ともに短いアップ時間で終わったジョアン・カンセロの背中を叩いて励ましながらベンチへ戻り、試合終了後はピッチに出て味方を祝福していた。
左サイドバックの先発はダビデ・サントン。継続した出場機会を与えられて調子を上げる彼は、オーバーラップからのシュートでチームの1点目に絡んでいた。その他の場面でも危なげなくプレーし、後半にはダウベルトの投入で右サイドバックに入っていた。
試合後スパレッティ監督は地元テレビのインタビューに対し「サントンは攻守両面で質の高いプレーのできる選手だ」と評価した一方で、長友についてはこのように語っていた。
「長友は、受け持ちのエリアではやられない。彼には反応力と運動量がある。昨季は(率いていたローマで)モハメド・サラーとのマッチアップを見ていたが、全く困難に陥ってはいなかった。ただハーフウェーラインから向こうのエリアにおけるプレーの選択は、彼が有する一番のクオリティというわけでない。それとセットプレーにおいてサントンはやはり別物で、それはチームの構成において重要なものだ」
要約すれば、走力を生かした守備では信頼しているが、攻撃面での質では足りないところがあると見ており、一方でサントンは高さもあるから選択されているということだ。攻撃面においては、ダウベルトという強力なレフティーも控えている。チームが首位争いを展開し、毎試合での勝ち点3奪取の意味合いがより重くなる状況では、よりシビアな考えのもとで選手起用が図られるに違いない。
一方でスパレッティ監督は「私は選手を選んでいるだけで、落第させているわけではない。まだ我われは層を厚くしていかなければならない」と語っていた。今はそういう時期に当たっているだけなのかもしれない。何れにせよ長友にとっては、ある部分での能力的な限界があっても起用に足る理由があるということを、練習でアピールしていく必要があるのだろう。
もっともそれは、厳しいポジション争いの中にいることを自覚する本人にとっては分かり切ったことのはず。重大なミスの多かった昨季とは違い、今季はすでに良いパフォーマンスを展開してチームの成績に繋げている。コンディションをさらに高め、出場機会の再奪取とチームへの貢献を望みたい。
(取材・文:神尾光臣)
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