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Jリーグ 7年前

佐藤寿人が名古屋で求めた喜び。5クラブを渡り歩いたベテランFWの献身【谷間の世代と呼ばれて】

シリーズ:「谷間の世代」と呼ばれて text by 元川悦子 photo by Getty Images

ピッチ上でプレーすることへのこだわり

広島では同い年の森崎和幸、浩司らと3度のリーグ制覇を経験した
広島では同い年の森崎和幸、浩司らと3度のリーグ制覇を経験した【写真:Getty Images】

 その佐藤寿人が今季、J2初降格を強いられた名古屋へ移籍したことは、多くの人々に驚きを持って受け止められた。過去にセレッソ、仙台、広島でそれぞれJ2を1シーズンずつ戦ったことはあるが、ベテランになった今、あえて2部リーグに身を投じることは、やはり勇気のいることだったに違いない。

「12年過ごした広島からは残留のオファーももらいました。同じ年の浩司(森崎)は引退してしまったけど、カズ(森崎和幸)もいるし、広島ではホントにいい仲間に恵まれた。そこで現役を終えるっていう選択肢も自分の中にはありました。だけど僕は『ギラギラしながらサッカーをすることの喜び』を追い求めたかった。

 そのためにはピッチ上でプレーすることにこだわり続けないといけない。名古屋は『1年でJ1に戻る』という明確な目標もありましたし、自分の仕事はハッキリしている。迷いはなかったですね」と35歳の点取り屋は決断の理由を改めて口にする。

 名古屋を率いる風間八宏監督は94年に広島をJリーグステージ制覇へと導いた時のキャプテン。佐藤にとっては広島の先輩に当たる。自身も36歳まで長く現役を続けた選手だったこともあり、ベテラン勢に対しても容赦なく負荷の高いトレーニングを課した。

「昨季の広島では日本人最年長で、ゲーム形式を1本やったら2本目はやらないとか負荷を軽くしてもらったこともありました。でもここは毎日フルメニュー(笑)。18~19歳の若手と、ナラ(楢崎正剛)さん、タマ(玉田圭司)さんといった35歳以上の選手が全く同じ練習をこなしています。

 そういう1つ1つが僕にとっての新たな刺激。今季は序盤にケガ(右ハムストリングス筋損傷で全治6週間)もあったし、サイドハーフで使われたりしましたけど、新たな経験ができている」と佐藤は言う。

 それが1年でのJ1復帰を引き寄せる原動力となったに違いない。今季J2では28試合出場5ゴールと佐藤にしてはやや数字的に物足りなさを感じさせたが、36歳のストライカーとしては上々のパフォーマンスと言ってもいいかもしれない。どんな時も前向きにサッカーに取り組む姿勢は、その数字以上にチームに好影響を及ぼした。

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