「技術とか戦術的なところはまだまだ成長できる」
今季から在籍する6つ目のクラブ・福岡では40試合出場6ゴール。出場数だけを取ってみるとキャリアハイの数字を残している。プレーオフの東京V戦を見ても分かる通り、ボランチとしてピッチに立つ機会も多く、本人も新境地開拓に大きな手ごたえをつかんだようだ。
「ボランチはやってて楽しいし、しっくりくる感じです。FW、トップ下というオフェンシブなポジションよりも、バランスコントロールする役割の方が経験や技術、フィジカル的なものを含めて今の自分に一番合っていると思う。ボランチをやることでそのポジションの面白さを知ったりし、自分自身の枠も広がった感じはありますね。
まだ1年もやってないポジションなんで、ここからどこまでこの役割を突き詰めていけるかという楽しみも出てきた。年齢を重ねるごとに体は衰えていきますけど、技術とか戦術的なところはまだまだ成長できる。そう思って前向きに取り組んでいきたいですね」
東京V戦での山瀬も、三門雄大とのボランチコンビでチーム全体に落ち着きと安定感をもたらしていた。単にボールをさばくだけではなく、中盤からフィニッシュに持ち込めるのも彼の強み。その長所を遺憾なく発揮したからこそ、福岡はJ1復帰に王手をかけることができたと言っていい。
12月3日のファイナルの相手は、同じ谷間の世代の代表格・佐藤寿人を擁する名古屋グランパス。中盤にも田口泰士ら構成力の高い選手がいるだけに難敵に他らならない。その相手にボランチ・山瀬はどう対峙するのか。彼のパンチ力溢れるシュートが再びさく裂するのか。大一番の行方が今から興味深い。
(取材・文:元川悦子)
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