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4点差消えた驚愕のダービー。“勝敗”分けたシャルケの早期英断とドルトの誤対応

text by 本田千尋 photo by Getty Images

はっきりと変わる流れ。後手に回るドルトムント

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結果はドロー。しかし、“負けた”のはドルトムント【写真:Getty Images】

 しかし“33分”を境に、流れは次第に敵地に乗り込んできた“ケー二ヒスブラオ”に傾いていく。シャルケの指揮官はマッケニーに代えてレオン・ゴレツカ、ディ・サントに代えてアミネ・ハリットを投入。大胆かつ合理的な交代策だった。ここでの肝はゴレツカ。背番号8はマイヤーとダブルボランチを組んだ。そうすることで、ゲッツェ、ヤルモレンコ、さらにはオーバメヤンにも使われていたスペースを埋めることに成功。次第に安定とリズムを取り戻していく。

 後半に入ると、58分、右サイドのタッチライン際で、シャヒンからロングパスを受けたヤルモレンコがクロスを入れてチャンスを演出。だが、ウクライナ代表FWがボールを貰う位置は、前半とは違った。中央でパスを受けることは難しくなっていた。苦しくなりつつあるドルトムント。

 61分、ロングボールを放り込まれ、ブルグシュタラーに頭でねじ込まれて1点を返される。65分、左サイドをコノプリャンカにえぐられてクロスを許す。ファーでフリーにしたハリットに、ワントラップから打ち込まれて2失点目。[2ボランチ+3トップ]に変更したシャルケは、ドルトムントの[3バック+2ボランチ]に数的同数でプレスを掛けることもできた。依然としてケーニヒスブラオにペースを握られていく。

 ボス監督は69分にヤルモレンコに代えてマルク・バルトラを投入。プリシッチを1列上げて、スペイン代表DFをウイングバックに配置する。守備の崩壊を未然に防ごうとした。だが72分、オーバメヤンが後ろからハリットを蹴って倒す。2枚目のイエローカードをもらって、ガボン代表FWは退場。10人になったドルトムントは、爆発的なカウンターでゴンサロ・カストロが飛び出すこともあったが、これ以上青い渦に飲まれまいと、引いてゴール前を固めるしかなかった。

 しかしそもそも、ゴール前にバスを並べることに慣れていない。BVBの守備は緩慢だった。86分、カリジュリがスタンブリとのワンツーで右サイドを突破。ゲレイロに代わったダン=アクセル・ザガドゥを振り切り、左足でシュートを突き刺した。4-3。煮えたぎる油に水を注いだように喜ぶシャルカーたち。94分、CKからナウドがヘディングで同点弾。BVBは4点のリードを守り切れなかった。

 狂気のダービーは、4-4のドローに終わった。だが、試合後のゴール裏を見比べれば、どちらが勝者かは一目瞭然だった。怒号が炸裂するドルトムント側と、狂喜に踊るシャルケ側。ドミニク・テデスコの采配を中心に、狂乱の渦が巻いた、レヴィア・ダービーだった。

(取材・文:本田千尋)

【了】

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