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アジア 7年前

ぶれない男・槙野智章、“アンチ”も糧に心技体充実の時。「人生かけた闘い」、いざアジアの頂へ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

日々の積み重ねが結実。30歳でさらなる飛躍

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フッキと対峙した槙野智章【写真:Getty Images】

 アル・ヒラルは第1戦で、左サイドバックに入った宇賀神友弥の背後を徹底して突いてきた。前半37分のFWオマル・ハルビンの同点ゴールも、レッズから見て左サイドへのロングボールを中央に折り返され、パスをつながれた末に喫していた。

 第2戦へ向けて、堀孝史監督は3日連続で非公開練習を行って情報を遮断し、同時にチーム全体の士気を高めてきた。どちらのポジションを託されてもいいように、槙野は「両方ができることは僕の強みです」と心技体を磨き上げて決戦の朝を迎えた。

 厳しい檄や激しい批判を糧に変えて、30歳を迎えた今シーズンで成長を遂げた。たとえばハリルジャパンでは、ワールドカップ・ロシア大会出場を決めた後の10月シリーズから、吉田麻也(サウサンプトン)に次ぐセンターバックの序列を昌子源(鹿島アントラーズ)との間で逆転させた。

 ハリルジャパンへは2015年3月の発足時から、けがをしていた期間を除いて常に招集されてきた。もっとも、待っていたのはヴァイッド・ハリルホジッチ監督の厳しい言葉の数々だった。

「槙野に何を言うかはもう考えてある。彼のための映像も20日前から用意している。いいディスカッションができると思う」

 指揮官が嬉しそうに笑ったのは、国内組だけが招集された2015年5月の日本代表候補合宿前。個人面談では実際に20項目のプレー映像に対してダメ出しされ、根本から改善するように求められた。

 1対1における球際の強さを含めて、日本人選手のなかでもトップクラスに入るフィジカル能力を槙野は搭載している。ゆえに岡田ジャパンでも、そしてザックジャパンでも日本代表に招集されてきた。

 しかし、時として集中力が途切れるのか。ボールウォッチャーになる悪癖が顔をのぞかせることもあれば、攻撃好きを自負するあまりに、背後が疎かになる場面も少なくなかった。いまも忘れられない昨年のJリーグチャンピオンシップ決勝第2戦。年間王者をアントラーズに奪われる直接的な原因は、ドリブルでゴールに迫るFW鈴木優磨を背後から倒し、PKを与えた槙野の痛恨のファウルだった。

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