自信を取り戻すカギは「英雄」の双肩に
現在のBVBは、失点に対する耐性が弱くなっている。逆境をはね返していく力が失われつつある。苦境に動じないメンタルを取り戻すため、つまり再び「自信」を手に入るためにも「1勝」が必要だ。しかし、その「1勝」を掴み取るため、自分たちのスタイルにこだわればこだわるほど、対戦相手に研究され、なかなか試合で勝利することができない。ドルトムントはそんな“ジレンマ”に陥っている。
対照的にシャルケは、新監督ドミニク・テデスコの戦術が浸透。攻撃的MFマックス・マイヤーのボランチへのコンバートが見事にハマり、公式戦7試合連続で負けなしと好調を維持している。
テデスコの[5-3-2]は、ボスの[4-3-3]と極めて相性が良いと言えるだろう。守備時には、シャルケの中盤の3枚が、そのままマン・ツー・マン気味にドルトムントの中盤の3枚をマークすることができる。攻撃時には、ヌリ・シャヒンやユリアン・バイグルといったワンボランチの両脇のスペースを利用し、縦パスから連動したサイドアタックを仕掛けることが可能だ。トッテナム戦でそうだったように、現在のドルトムントはサイドからの攻撃に脆いところがある。
何より“ケーニヒスブラオ”は、「自信」を持ってジグナル・イドゥナ・パルクに乗り込んで来るだろう。
このような危機的状況で、BVBがすがれるものがあるとすれば、「ダービーの英雄」を置いて他にないのかもしれない。これまで香川が出場したシャルケ戦の戦績は、5勝3分1敗とドルトムントが大きく勝ち越している。極東の国からやってきた「英雄」は、4ゴール1アシストと結果も残してきた。
背水のダービーの行方は、背番号23の双肩にかかっているのかもしれない。
(取材・文:本田千尋)
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