J1昇格をかけた戦いの果てに、ヴェルディは何を見つけるのか
11月26日、プレーオフ準決勝。アビスパ福岡との決戦の地は、なぜか熊本・えがお健康スタジアム。本来、Jリーグからは開幕前にプレーオフの会場を押さえておくように通達されているが、10月に入ってなお福岡は3会場を候補に上げ、確定させることができずにいた。プレーオフ出場の可能性があったクラブはこれに振り回され、てんやわんやだったと聞く。
東京Vは通常なら早めに押さえておくホテルの手配で行き詰まり、最終的にはJリーグが助け舟を出してどうにか確保している。今回は過ぎたこととして、この先、同様の事態に陥った場合はホーム開催権の剥奪処分が妥当だ。
最終節の徳島戦は出場停止によりスタンドからチームの戦いを見守ったキャプテンの井林章は、プレーオフに向けた意気込みをこう語る。
「いままで手が届きそうで届かなかった舞台。やっとつかめたという安心感があり、日増しにやってやるぞと高揚感が湧き上がってきています。スコアレスドローだった前回の対戦ではウェリントン選手をはじめ、相手には主力数人がいませんでした。相手には年間順位のアドバンテージがあり、厳しい戦いになるでしょうが、こっちが先制点を取るまで絶対にゴールは割らせない」
あの日、味の素スタジアムを訪れた人たちのなかで、熱に浮かされたまま熊本まで駆けつける人は少数にとどまるだろうが、誰もが結果くらいは気にかけるに違いない。石にかじりつくようにしてゴールを守り、あらん限りの力を振り絞って前に出る。
東京Vの選手たちはハードワークという言葉が陳腐に感じられるほどすべてを出し尽くした。そうまでしていきたかったところに何があるのか。戦いの果てに、何を見つけるのか。そこに興味をそそられないはずがない。
(取材・文:海江田哲朗)
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