多くの修羅場を経験。ここぞで頼りになる存在に
井原正巳監督からはリスタートのキッカーも任され、アシストを量産。一時はJ2アシストランキングトップにも立っていた。持ち前の走力に加え、キックの精度という際立った武器があるのも、駒野が36歳になっても輝き続けられる秘訣だろう。本人にもそういう自負はあるようだ。
「僕自身、高さのある選手に合わせるボールを昔から上げられるタイプ。キックを武器にできて、それを今も出せているのはすごくいいことだと思います。チームも8月の(V・ファーレン)長崎戦から(9月のロアッソ)熊本戦まで6試合勝ちなしと苦しみましたけど、その後の何試合は勝ち点をしっかり取れていた。
ラスト5試合は上位チームとの対戦が続いて難しかったし、結果的には4位とJ1昇格プレーオフに回ることになりましたが、ここまで来ればどことやっても一緒。自分としてももう一度、J1の舞台に立ちたいので、それを目指して最後まで戦っていければいいと思います」
福岡が1年でのJ1復帰を果たすためには、26日のプレーオフ準決勝・東京ヴェルディ戦、そして12月3日の同決勝を制するしかない。シーズン序盤から2位をキープしてきた彼らにとって、プレーオフを戦うことはメンタル的に厳しいだろうが、苦境に立たされた時こそ、頼りになるのが数々の修羅場を潜り抜けてきた駒野友一である。
彼は自分から周りにアクションを起こしたり、言葉を発したりするタイプではないが、地味にコツコツと自分の仕事をこなすことで仲間を鼓舞できる男。縁の下の力持ちのキャラクターをいかんなく発揮して、福岡を大願成就へと導いてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子)
【了】