バルサ相手に無失点。プラスアルファで完全復調目指す
その結果ユーべはゴール前でのスペースを上手く消すことに成功し、ルイス・スアレスらにエリア内でパスを受けさせていなかった。外からクロスが入っても守備陣が粘り強く弾き、ジャンルイジ・ブッフォンが頑張って凌がなければならないようなピンチもなかった。22分にイバン・ラキティッチが放ったFKがポストを直撃したシーン以外は、守備に関しては危なげなく前半を終えた。
後半になるとバルセロナはペースを上げ、さらに温存していたメッシを投入する。相手のプレスにも捕まり防戦一方になる時間も増えたのだが、それでもユーベの守備は決壊しなかった。中盤に落ちてボールを触るメッシの投入で、展開の軸が中央に移ったことを看破したアッレグリ監督は適切な修正を入れた。まず疲労を訴えたミラレム・ピャニッチを下げ、ロドリゴ・ベンタンクールを中盤の底に投入。さらにクアドラードを下げ、ボランチのクラウディオ・マルキージオを入れた。システムは4-3-2-1へ。マルキージオには右サイドを見させるとともに時に中央にも絞らせ、中盤の守備を強化した格好だ。
これでユベントスは盛り返し、守るだけでなく攻撃にも転じられるようになった。最終的にユーベはバルサを上回るシュート数を放っており、守備専従にならずバランスの良い試合運びをすることもできていたと言える。「今季は攻撃面では悪くない内容の試合運びができていたが、その分守備が疎かになっていた。その意識の徹底を図りたかった」とアッレグリ監督は語っていたが、確かにその目標通りの試合運びはできた印象だった。
ただユベントスは、久々に安定感のある守備ができていた一方で攻撃には精度を欠いた。バルセロナも戦術的な守備を実行しており、レジスタのピャニッチと前線でボールを収めるゴンザロ・イグアインにはプレッシャーを掛け続け、攻撃の連動を許さない。またアンドレス・イニエスタら中盤の選手は守備への戻りも早く、ユベントスのカウンターは展開の根元で潰されていた。
それを前にして、ユーベの攻撃は個人技頼りになった。パウロ・ディバラやドゥグラス・コスタが突破を仕掛け、抜けられた時にしかビッグチャンスにはならない。それでも試合終了直前、アレックス・サンドロの折り返しをディバラが受け、ゴール左隅を狙うシュートが枠へと行ったが、GKに弾かれた。
スポルティング・リスボンが勝ち点差を詰めてきているため、グループリーグ最終節のオリンピアコスにはきっちり勝たないと厳しい。バルセロナ戦で取り戻した守備の規律をベースに、ユーベが攻撃力をどこまで上乗せできるかが注目される。
(取材・文:神尾光臣)
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